2026-01-01から1年間の記事一覧
2005年発表の本書は、南部生まれのマルチタレント作家ジェィムズ・サリスの犯罪小説。作者は、小説・評論・翻訳・脚本と幅広い執筆活動をしていて、本書も後に映画化されている。多作家だが<南部の黒人探偵ルー・グリフィンシリーズ>含め、ほとんど日本で…
本書は以前「ゼロ戦20番勝負」を紹介した、秦郁彦氏の第二次欧州大戦の作戦級エピソード集。筆者は防衛庁出身、拓殖大・日大などで教鞭を執った人。主としてWWⅡ関連のノンフィクションを発表し、1993年委は菊池寛賞を受賞している。 本書は1962年から雑誌<…
溥儀は再び皇帝に返り咲くことを夢見て、日本軍の誘いに乗った。しかし石原中佐らは、満州国を<五族協和>の共和国にしようとしていた。溥儀は元首ではあるが「執政」という役職になる。溥儀は激怒するが、とりあえずはこの案を呑んだ。石原は満州国は日本…
戦史研究家で作家の児島襄作品は、これまで「日露戦争」「日本占領」を紹介している。今回は「満州帝国」全3巻を読んだ。今日6月4日は、1928年に張作霖爆殺事件が起きた日。朝鮮半島を手に入れた日本は、「無主の地」と考えた中国東北部に手を伸ばそうと…
本書は以前「日本史の内幕*1」など何冊かの歴史考を紹介したマルチタレント歴史学者磯田道史氏の「歴史の裏と闇」研究。「・・・の内幕」もそうだったかもしれないが、<読売新聞>に2017~2022年に連載された記事をまとめて、2022年に新書として出版したものだ…
本書は歴史作家戸部新十郎が、1996年から月刊誌<武道>に連載した内容を単行本化したもの。戦国の覇者織田信長の8つの戦い(*1)を詳述して、英雄の足跡を描いたものだ。冒頭、信長・秀吉・家康を「三英傑」と呼ぶが、信長だけが突出していると作者は言っ…
1963年発表の本書は、鬼才フレドリック・ブラウンの第二短編集。本格ミステリーからSFまで、幅広い作風で知られる作者の得意とするところは短編。30ページの中に冒頭の怪奇性、中段のサスペンス、鮮やかな結末が詰まっている。 表題作「復讐の女神」は、田舎…
1932年発表の本書は、アリバイ崩しの名手F・W・クロフツの<フレンチ警部もの>。今回警部はアリバイではなく、密室トリックに挑むことになる。 仕事を無くして途方に暮れていた28歳の娘アンは、ケント州の町で待遇の良い仕事を見つけ喜んでいた。フレイル荘に…
1991年発表の本書は、エリス・ピーターズの<修道士カドフェルもの>の第18作。無政府時代のイングランドを舞台にした大河ドラマも、そろそろ大詰めが近い。主人公カドフェルも60歳代半ばになり、もう遠出はできないなと思っている。 内戦が小休止になり、各…
1992年発表の本書は、これまで「凍てついた夜」「第一容疑者」を紹介したリンダ・ラ・プラントのノーベライゼーション。本書もグラナダTVで放映されたもので、前作同様サウザンプトン・ロー署のジェイン・テニスン主任警部が主人公。 前作の活躍が評価された…
2024年発表の本書は、リクルートワークス研究員の坂本貴志氏の日本経済未来予測。少子化と人手不足によって、企業の在り方も変わり「安い労働力」で経営することはできなくなった。その転換点でなにが起きているか、データと企業事例から読み解こうという経…
1992年発表の本書は、大艦巨砲主義・海の架空戦記作家横山信義の原点というべき、全5巻シリーズ。僕より2歳若い作者は、自動車メーカー勤務時代に書き始めたWWⅡの海戦で「if」を求めた架空戦記を、今も書き続けている。 帝国海軍には、主力艦たる戦艦・巡…
1990年発表の本書は、警察小説の雄ヒラリー・ウォー晩年の作品。作者は40年以上にわたり、40冊ほどの長編を遺した。その大半が警察小説で、長くレギュラーを務めた探偵役はいない。市民を守る警察活動を活写することが中心で、魅力あるレギュラー主人公とい…
2008年発表の本書は、英国<ガーディアン紙>の記者マーティン・ウォーカーのミステリーデビュー作。外国支社勤務が多かった作者が選んだ舞台はフランス南西部、人口2,900人の村サンドニ。有名なラスコーの洞窟壁画が近くにある以外は、ごく普通の山村だ。顔…
ピュントは、一度意識を失うなど病気が進んでいた。ブラキストン夫人の死とサー・マグナスの死の間に、パイ屋敷では盗難事件もあった。湖の底をさらい盗品を見つけるのに成功したピュントは、ロバートの父親で、今は夫人と別居しているマシュー・ブラキスト…
2017年発表の本書は、ジュブナイルからTVドラマ脚本(*1)、ホームズもの、ボンドものまで幅広い作品を生み出してきたアンソニー・ホロヴィッツのクリスティ愛に溢れたミステリー。2018年に邦訳出版されるや、その後の3作品も含めていずれも「週刊文春ミス…
1933年発表の本書は、4ヵ月続けて「レイトン・コートの謎」などを紹介した、アントニー・バークリーの<名探偵シェリンガムもの>。フランシス・アイルズ名義のものも含めて、凝った趣向でマニアをうならせる作者だが、本書は70年近く邦訳されなかった「幻…
2025年発表の本書は、英国現代政治が専門の東京外国語大学教授若松邦弘氏の「21世紀の英国政治評」。権力を持つ下院は純粋小選挙区制なので、保守党・労働党の二大政党が政権交代をにらみながら対峙してきたのが英国。この2政党の対立軸は20世紀には、経済…
1999年発表の本書は、デボラ・クロンビーの<ダンカン&ジェマもの>の第6作。前作「警視の死角」で死んだ元妻の忘れ形見キットが、自分の子供だったことを知ったダンカン・キンケイド警視は、キットとの距離感に悩んでいる。恋人で部下でもあるジェマ・ジ…
2017年発表の本書は、新書大賞受賞作「京都ぎらい*1」などを紹介した風俗史研究家井上章一氏の「美人論」。NHKBS「いけずな京都シリーズ」の案内人として知り、何冊かその「はんなり」した論説を拝読した。前書きに、旅行者にとっての京都の魅力とは、 ・一…
1988年発表の本書は、映画「プレシディオの男たち」のノベライゼーション。パラマウントの配給で、原作はラリー・ファーガスン。ノベライズをマイク・コーガンが担当している。 映画の主演は名優ショーン・コネリーで、サンフランシスコの陸軍基地プレシディ…
1984年発表の本書は、<マット・コブもの>など本格パズラーで読者を楽しませてくれたW・L・デアンドリアのスパイスリラー。米ソ冷戦のスパイ戦、サスペンス横溢の誘拐もの、「ホッグ連続殺人*1」に代表される作者の特徴「言葉遊び」が詰まった、カテゴリ分け…
2025年発表の本書は、国際ジャーナリスト春名幹男氏の「ソ連崩壊からプーチンの報復の理由」解説。米国のレーガン政権が謀略を持ってソ連を追い詰め、これを崩壊させた。謀略は、諜報機関所属のスパイ、二重スパイらが入り乱れて少しずつ進んだ。KGBのプーチ…
2004年発表の本書は、「家族の名誉*1」に始まるロバート・B・パーカーの<サニー・ランドルもの>第四作。同じボストンを舞台にした<スペンサーもの>では「背徳*2」と同時期のもので、スペンサーのパートナーである精神科医スーザン・シルヴァーマン博士がサ…
1993年発表の本書は、津村秀介の短編集の第6集。以前「湖畔の殺人」を紹介しているが、作者の短編集は長編シリーズ「浦上伸介もの」と異なり、アリバイ崩し主体のパズラーではない。表題作に伸介たちが登場することはあるが、ほとんどの短編はリアルな犯罪…
このDVDは、オリジナル「Mission Impossible」のシーズン1。まだジム・フェルプス(ピーター・グレーブス)が登場せず、リーダーはダン・ブリッグス(スティーブン・ヒル)である。シナモン・バーニー・ウィリーは最初からレギュラーだが、ほぼ全ての話に登…
2025年発表の本書は、BNPパリバ証券のチーフエコノミスト河野龍太郎氏の日本経済展望。昨日の「ほんとうの日本経済」は政策の中でも作戦/戦術級のものを扱っているが、こちらは戦略級のマクロな視点に立った経済書である。 冒頭、日本経済は生産性が伸びて…
2022年発表の本書は、以前「基軸通貨ドルの落日*1」を紹介した評論家中野剛志氏のインフレを研究した経済安全保障論。ロシアのウクライナ侵攻後の例えば中東紛争は起きていない時期の論考だが、確かに筆者の予測する方向に世界は動いている。 世界的なインフ…
2000年発表の本書は、名匠ローレンス・ブロックの<殺し屋ケラーもの>。以前連作短編集「殺し屋」を紹介(*1)していて、そこに収められているのが1990~1998年の作品だった。本書はその後日談とも言える長編。しかし内容は、ハンドラーのドットが受けてく…
1969年発表の本書は、以前「黄金猿の年」を紹介したコリン・フォーブズのWWⅡ戦記。1940年の5月、ドイツ軍の電撃戦でベネルクス3国やフランス北部が席巻されてしまう。かの地には英国の大陸派遣軍(BEF)もいたのだが、散り散りになりダンケルク目指して撤…