2026-01-01から1ヶ月間の記事一覧
1988年発表の本書は、海軍兵学校出身のスポーツマン作家デイヴィッド・ポイヤーのアクション小説。10冊余の作品があるようだが、読むのは初めて。ペンシルヴァニア州ヘムロックの山岳地帯、冬はハンティングの季節だ。雪山の自然は過酷だが、やってくるハン…
本書は、冒険小説の雄ジャック・ヒギンズが、以前紹介した「審判の日」と同じ2000年に発表したもの。「審判の日」同様、英国首相の私的軍隊ファーガスン少将(准将から昇進)、ショーン・ディロン、バーンスタイン警視のトリオと、米国大統領直属のブレイク…
喜多喜久という人の本を読むのは、このシリーズが初めてである。本書はキューリーという名前のフランス人の祖父を持つクオーターの化学者、沖野准教授が主人公の学園連作ミステリーである。長身痩躯、うっすらと不精髭をはやしたオタク的な人物だが、学会で…
2024年発表の本書は、日本保守党百田尚樹氏の「日本社会の歪み論」。今年初めのNHK日曜討論で「男女共同参画3兆円、子ども家庭庁7兆円の予算はムダ」と切り捨て、女性司会者を呆然とさせた作者だが、その主張の原点は本書に顕れていると感じる。 作者はニ…
1987年発表の本書は、「暗黒小説界の魔犬」と自称するジェイムズ・エルロイの社会派ミステリー。以後「ビッグ・ノーウェア」「LAコンフィデンシャル」「ホワイトジャズ」と続くLA四部作の第一作にである。作者は10歳代で両親を亡くし、酒や麻薬に溺れ何度も…
1991年発表の本書は、フレデリック・フォーサイスの<騙し屋マクレディもの>第二作。冷戦が終わり秘密情報部(SIS)の整理にあたり、スケープゴートにされそうなサム・マクレディは、前作「騙し屋」でソ連軍の戦闘序列マニュアルを取得したことを成果として…
2022年発表の本書は、先週紹介した「戦闘国家」で小泉准教授と対談した日大危機管理学部小谷賢教授の「戦後日本のインテリジェンス史」。日本のインテリジェンス力が低いというのは通説だが、筆者は本書で、 1)戦後日本はなぜインテリジェンス・コミュニテ…
1987年発表の本書は、エリス・ピーターズの<修道士カドフェルもの>の第14作。スティーブン王は女帝モードを包囲しているが、女帝側の軍勢もフランスから舞い戻ってきている。シュルーズベリ周辺は平穏なのだが、近くの荘園主ルーデルが死んだ。彼はリンカ…
2003年発表の本書は、日本中世史が専門の谷口研語氏の、地形と合戦名の研究。原、川、山、島、峠、畷などの地名が付いた合戦や軍事行動を、平安時代から幕末まで70ほども集め、どのような戦いが行われたかを「地の利」を中心に解説している。 「関ケ原」に代…
2020年発表の本書は、元対戦車ヘリのパイロットであるドン・ベントレーのデビュー作。シリアのアサド政権下で起きる化学兵器開発阻止のため、元レインジャー大隊員でいまは国防情報局(DIA)員であるマット・ドレイクが満身創痍の闘いをする。そのリアルな活…
2025年発表の本書は、インターネット上の組織犯罪の実態を、元マル暴刑事の櫻井裕一氏と「闇Web」に詳しい高野聖玄氏が明らかにしたもの。 「トクリュウ」とは匿名流動型犯罪の通称で、ルーツは「オレオレ詐欺」などのチーム犯罪。電話を掛ける者、モノを受…
2001年発表の本書は、これまで「千年紀の墓標」から「細菌テロを討て!」まで4作を紹介した、トム・クランシー&マーティン・グリーンバーグ共著の<アップリンク社もの>の第5作。このシリーズは8作発表されていて、あと第6作だけが未入手。 今回の主な…
2002年発表の本書は、これまで2作品を紹介してきたロバート・B・パーカーの<サニー・ランドルもの>の第三作。前作「二度目の破滅」でもフェニミズム運動家に対するストーカー対策を依頼されて事件に巻き込まれた女私立探偵サニー・ランドルだが、今回も元夫…
2025年発表の本書は、危機管理学の小谷賢教授と軍事ヲタク小泉悠准教授の対談本。テーマは、戦い続ける国ロシアとイスラエルを素材にした「諜報力に拠った国家像」である。 まずロシアだが、16世紀のモスクワ大公国イワン雷帝が作ったオプリチニキ(親衛隊)…
本書は、久しぶりに手に入った21世紀研究会の「世界地図シリーズ」。これまで4冊を紹介しているが、今回は「武器と戦争」がテーマ。内容は戦争史そのものなのだが、近代になってくると登場する武器やドクトリンはほぼ平準化されて「地図」にはなりにくい。…
1991年発表の本書は、サスペンス(*1)でも本格(*2)でも存在感を示すルース・レンデルが、別名義(バーバラ・ヴァイン)で書いたサスペンス。英国推理作家協会賞のゴールドダガー賞を受賞し代表作である。 ロンドンの地下鉄が地表に出るところ(フィンチリ…
2016年発表の本書は、ロンドン生まれロンドン育ちの歴史好きで、クリスティらに影響を受けて育ったというミシャル・バークビイのデビュー作。コナン・ドイル財団公認のホームズ・パスティーシュ(仏語で模倣作品の意)で、主人公はハドソン夫人とメアリー・…
2000年発表の本書は、巨匠エド・マクベインの<87分署シリーズ>第50作目。通常複数の事件が並走し、それらは個別に解決されたり棚上げされたりするのだが、本書は(記念作らしく)4つの事件が絡み合って大団円に至る。 70歳前の男ヘールが死んだ。死体発見…
このDVDは、1996年にCBSネットワークで放映された、「JAG犯罪捜査官ネイビーファイル」の第二シーズン。先シーズンでハーモン・ラブ少佐の相棒だったメグ・オースティン中尉(トレイシー・ニーダム)に変わって、先住民の血筋を引いたサラ・マッケンジー少佐…
2023年発表の本書は、朝日新聞で台北支局長などを務めたジャーナリスト野嶋剛氏の台湾レポート。清国が軽く見て日本に割譲した台湾島を、日本政府は近代化した。客家や福建省人がやってきて本省人として多数を占めた(現地民族は人口の2%ほど)が、WWⅡ後蒋…
1991年発表の本書は、多作家内田康夫の「浅見光彦シリーズ」の異色作。通常何らかの雑誌に連載することから、書き始めた時は誰が犯人か、作者にも分かっていないのがこのシリーズの特徴。しかし、作者は本書で大きな仕掛けをした。本書だけは最後のページま…
2018年発表本書は、毎年110番の日に紹介しているキャリア警察官僚出身の作家古野まほろの<警察内部レポート>。本書では、警察官から見た典型的な(ステレオタイプの)警察官像。民間から見た警察官像との違いを理解してほしいとある。 平均的な警察官像と…
映画「トラ・トラ・トラ」の冒頭、日本海軍のTOP会合のシーンがある。大艦巨砲主義の参謀が、航空兵力強化よりも戦艦で戦おうと主張し「排水量6万4,000トン、不沈艦の完成も間もない」というのに、航空参謀が「欧州の戦場は陸海を問わず制空権無き者は必ず敗…
2024年発表の本書は、元日経ソウル支局長のジャーナリスト鈴置高史氏の現代韓国レポート。分断深まり、政権交代のたびに前大統領が訴追される(または自殺する)ような国だが、筆者はそもそも民主国家ではなく「半導体などが作れるものの、メンタリティは李…
本書は、以前「ベルリン・ゲーム」「メキシコ・セット」「ロンドン・マッチ」のスパイ三部作を紹介した、レン・デイトンの戦記短篇集。作者は「エスピオナージの詩人」と呼ばれ、陰惨でサスペンスフルなスパイ小説を、美しい詩のように語ることができる。上…
1972年発表の本書は、冒険小説の雄ジャック・ヒギンズ初期の作品。IRA指導者に率いられた一隊が、英国の輸送船を襲い50万ポンド相当の金塊を奪ったことから物語が始まる。作者の作品の常連で諜報機関の元締めファーガスン准将は、銃器密輸の容疑で拘束されて…
1968年発表の本書は、ロス・マクドナルドの<リュウ・アーチャーもの>。ハードボイルド小説評論家としても名高い、小鷹信光の翻訳である。私ことアーチャーは、銀行のPR部長セバスチャン家に呼び出された。1日前に一人娘のサンディが家出したので、探して…
2024年発表の本書は、産経新聞社出身のスポーツライター喜瀬雅則氏の「中日ドラゴンズ論」。この10年間ほとんどがBクラス転落、生え抜きサラブレッド立浪監督で3度最下位に沈んでいるというのに、バンテリンドームはいつも満員。地元のTV局にとってドラゴ…
1925年発表の本書は、寡作ながら印象深い作品を遺したアントニー・バークリー・コックスのデビュー作。これまで「毒入りチョコレート事件」やアイルズ名義の倒叙もの「殺意」などを紹介している。作者が一番多く登場させた探偵役がロジャー・シェリンガムで…
一昨年「名城の日本地図」を紹介したが、同じテーマをもっとビジュアルに示してくれたのが本書。2012年の発表で、BS朝日の人気番組「日本の城ミステリー紀行」で番組の案内役を務めた歌舞伎俳優坂東三津五郎(十代目*1)が、27の城を紹介してくれる。筆者は…