軍事スリラー
世界最強米軍は、数々の特殊部隊を持っている。今は正式に一軍になっている海兵隊だって、もともとは水陸両用の特殊部隊とも言えた。現状の特殊部隊の中でも一番厳しい訓練をし、高い資質・能力を求めるのが、海軍特殊部隊「NAVY SEALs」という。2012年に、…
昨日デイル・ブラウンの「幻影のエアフォース(2002年)」を紹介したが、その中にパイロットの脳が直接操縦する戦略爆撃機やMig戦闘機の話があった。本書はそれより20年早く1980年に出版された、類似アイデアに基づくもの。作者のスティーヴン・L・トンプスン…
本書は以前「ロシアの核」や「空爆指令」を紹介した、航空冒険小説作家デイル・ブラウンの2002年の作品。作者のレギュラーであるマクナラハン将軍ものとは別の「ドリ-ムランド」シリーズの第二作にあたる。 「ドリームランド」は、ネヴァダ砂漠の中に位置す…
本書(1991年発表)は、ジャック・ヒギンズの名作「鷲は舞い降りた」の続編。前作が完全版として再版されてから、10年の間隔を置いて発表されたものだ。チャーチル誘拐/暗殺に失敗して戦死したと思われていた、柏葉付騎士十字勲章保持者クルト・シュタイナ…
2018年発表の本書は、国際政治学者ジェフリー・ルイスが、金正恩・トランプの米朝交渉を背景に書いた軍事スリラー。韓国含めて3国の政治事情が詳しく盛り込まれていて、フィクションながら「あり得るかも」と思われる展開になる。小説だが巻末には15ページ…
昨日デイル・ブラウンの、やや荒唐無稽な軍事スリラーを紹介した。もうちょっとで「架空戦記」か「SF」の領域に入りそうだった。1996年発表の本書は、日本では数少ない航空軍事スリラー作家鳴海章の、「ユニコーン(国連航空軍)もの」。ソ連崩壊の後、彼の…
派手な航空(&宇宙)軍事スリラーが得意なデイル・ブラウンの諸作もいくつか紹介した。「ロシアの核」では、モルドヴァを巡ってウクライナ・ロシア両国が戦争状態に入り、核兵器が使われることになる。「ロシアの核」を読んだときには、まさか両国の熱い戦…
2017年発表の本書は、マーク・グリーニーの「グレイマン」シリーズの第六作。前作「暗殺者の反撃」でDCに戻り、自分を「発見次第射殺」の対象としていた勢力を駆逐し、CIAに復帰したコート・ジェントリー。今は「好きな仕事だけ引き受ける」立場にある。復帰…
2000年発表の本書は、昨年「ホワイトハウス・コネクション」までを紹介した、ジャック・ヒギンズの「ショーン・ディロンもの」。その続きがずっと見つからなかったのだが、ある日平塚のBook-offで見つけて即購入。前作同様、ディロンにファーガスン准将、バ…
2013年発表の本書は、マシュー・メイザーの2作目の小説。もとは自費出版のEブックとして世に出たのだが、サイバー攻撃の脅威をヴィヴィッドに描いていることが評判を呼び、20ヵ国ほどで出版されている。映画化の話もあったと言うが、実現したかどうかは定…
本書は2009年にNHK土曜ドラマで放映され、その後映画化もされた同題作品「外事警察」の原作本である。作者麻生幾はNHKから「テロ対策をテーマのドラマを作りたいので原作を」と依頼されて、本書を執筆したと巻末謝辞にある。対テロのスパイ&軍事スリラーは…
「鷲は舞い降りた」以下の軍事スリラーの名手、ジャック・ヒギンズが第二次世界大戦の地中海戦域での特殊作戦を描いたのが本書(1981年発表)である。北アフリカからようやくドイツ軍を追い出した連合国側だが、歴戦のドイツ軍(しかもロンメル将軍だし)に…
本書(2016年発表)は、「戦闘級のチャンピオン」マーク・グリーニーのグレイマンシリーズ第五作。CIAの優秀な「資産」だったコート・ジェントリーだが、なぜか米国の危険人物リストに入り「発見次第射殺せよ」との命令が出てしまっている。前作「暗殺者の復…
トム・クランシーとスティーブ・ピチェニックの共著になる緊急事態対処部隊「オプ・センター」シリーズは、「ノドン強奪」に始まり12作を数えた。これらは全て新潮社から出版されていたが、新「オプ・センター」シリーズが扶桑社から3作だけ出版されている…
コリン・フォーブズという作者の本を、手に取ったのは初めて。タンカーと救難ヘリのイラストに「黄金猿の年」というタイトル。創元推理文庫の中では「スリラー・サスペンス」に区分されていて、紹介文も裏表紙には無く目立たない本だ。 創元社の文庫は、あま…
1971年、本書によってフレデリック・フォーサイスはデビューし、それまでの軍事スリラーやスパイものを一気に時代遅れにした。作者はイギリス人だが、子供の頃から大陸に親しみドイツ語やフランス語も堪能、空軍パイロットを経てジャーナリストになり国際舞…
本書は先月ノンフィクション「ニッポンFSXを撃て」を紹介したジャーナリスト作家手嶋龍一の手になる、本格的なインテリジェンス小説である。解説は、これも以前紹介した「日韓激突」で作者と対談した元外交官佐藤優氏が書いている。その解説によればインテリ…
スコットランド生まれの冒険作家アリステア・マクリーンは、「女王陛下のユリシーズ号」でデビュー、第二作の「ナヴァロンの要塞」が映画化されてヒットし有名になった。生涯で30作余りの冒険小説を書き、おおむね半分の作品が映画化されている。 1976年発表…
以前「ロシアの核」を紹介したデイル・ブラウンの比較的新しい作品が本書(2004年発表)。作者はB-52の搭乗歴やF-111のテストパイロットだったことを売りに、1986年「オールドドッグ出撃せよ」で作家デビューしている。デビュー作のヒーローである米国空軍の…
多分韓国のミステリー(軍事スリラーか?)を紹介するのは、これが初めて。南北の休戦状態を題材にした映画としては「シュリ」(1999年)が有名だが、本書はそれを超える人気を博したという映画(2000年)の原作。原題を「DMZ:非武装中立地帯」という。作者…
本書(2010年発表)は、元米国国家航空警備隊の機関士でアフガニスタンなどでC-5やC-130輸送機に乗り込んだ経験の長いトマス・W・ヤングがノンフィクション「The Speed of Heat」(これもアフガニスタンが舞台)に続いて発表した軍事スリラーである。飛行機…
2002年発表の本書は、セラミック外装の高速原潜<チャレンジャー>が主人公のシリーズ第三作。2年近く前に、第一作「原潜迎撃」と第二作「深海の雷鳴」を紹介してから少し時間が経った。南アフリカとドイツが枢軸を組み、英米連合軍の主力艦隊を奇襲で壊滅…
2009年発表の本書は、英国の歴史教員ジェィムズ・スティールのデビュー作。彼はオックスフォードで歴史・教育を学び、私立高の副校長である。彼が本書を書いている間に金融危機が訪れ、ロシアでも彼が描いたような政情不安が起きとあとがきにある。 本書の欧…
ベトナム戦争については初期にケネディ大統領が厳しい条件を付けるなど、「米軍は後ろ手に縛られたままこの戦争を戦った」という主張がある。米軍及び政権中枢は、国際社会や国内の反戦運動に配慮しながらこの戦いを続け、結局「世界最強の米軍はアジアの一…
本書は1975年に米国で発表された軍事スリラー、作者のルシアン・ネイハムはパイロットライセンスを持つジャーナリストで、結局小説はこの1冊しか残さなかった。解説によると6ヵ国語に翻訳されたとかスティーブ・マックィーン主演で映画化の企画があるなど…
本書は、恐らくはジャック・ヒギンズ最高の傑作と思われる。1975年に出版された後、削除されていたエピソードを加えて1982年に再版されている。本書は再版版の翻訳である。空挺部隊は第二次世界大戦で登場した新しい兵種、敵陣深く侵攻でき軽装備ながら厳し…
「アメリカン・スナイパー」は、イラクで多くの敵兵やゲリラを仕留めた伝説の狙撃兵クリス・カイルの自伝である。クリント・イーストウッド監督で映画化もされたのだが、この本の共著者がスコット・マキューエン。 https://nicky-akira.hateblo.jp/entry/201…
以前「ミッションMIA」「樹海戦線」を紹介したJ・C・ポロックの第三作が本書(1985年発表)。前者を架空戦記、後者をアクション小説に分類したのだが、本書は軍事スリラー(本当は政治スリラー)と考えるべきだろう。それでもストーリーの基本線は変わっていな…
1956年発表の本書は、同名の有名な映画の原作である。大西洋上で特命を帯びたUボートと、哨戒中の対潜駆逐艦の1対1の対決を描いたものである。作者は両艦の艦長を中心に、Uボートと駆逐艦の主に司令室でのアクションを交互に描いていく。 映画でクルト・…
昨年「尖閣諸島沖海戦」を紹介した、中村茂樹のリアルシミュレーションの陸戦版が本書。作者は海上自衛隊で潜水艦長から艦隊運用、情報分析、幹部教育、戦史などの部署を経験した人。今回の敵国はロシアである。 現実に原油安やコロナ禍で大変苦しいことにな…