軍事スリラー
李将軍と黄社長の陰謀は、SGIP社の協力やブラジル大富豪の資金でうまくいくかに見えたが、ICBMの重要部品や精錬装置のコア部分の密輸が、洋上で巡回している米海軍に阻まれてしまう。北朝鮮がかくも高価な部品を手に入れられることを知ったライアン政権は、…
今年初め、トム・クランシーの遺作「米露開戦」を紹介した。最後の共著者マーク・グリーニーによって、このシリーズは書き継がれていくことになる。本書(4冊組)はグリーニー単独の手になるもので、二期目半ばのライアン大統領は、北朝鮮の陰謀と対峙する…
1957年発表の本書は、冒険作家アリステア・マクリーンの第二作。デビュー作「女王陛下のユリシーズ号」は、北海での英国海軍軽巡洋艦の闘いと死を描いたものだったが、今回の舞台はエーゲ海。トルコに近い架空の島ナヴァロンでの、連合国軍人の破壊工作行が…
本書はまだ冷戦期の1983年に、英国の軍事スリラー作家リチャード・コックスが発表したもの。作者は予備役のパラシュート部隊の少佐、パイロット資格もあり、サンデータイムズやデーリーテレグラフの記者をしていたらしい。軍事紛争エリアを実際に取材した経…
<ザ・キャンパス>がセバストポリから無事に脱出したころ、ジャック・ジュニアは独自にスイスのプライベートバンクのカネの流れを追っていた。ところが所属する調査会社の経営者キャスターは、ジャックを外そうとする。実はジャックが追っているカネの流れ…
2013年発表の本書は、軍事スリラーの大家トム・クランシーの遺作。昨年スティーブ・ピチェニックとの共著「暗黒地帯」でも取り上げられたウクライナ紛争を、大統領ジャック・ライアンのシリーズでも扱ったものだ。共著者はマーク・グリーニー。クランシーが1…
2020年4月に出版された本書は、「COVID-19」のパンデミックを予言した小説。作者のローレンス・ライトは<ニューヨーカー誌>のスタッフライター。ジャーナリストとして、ノンフィクションや脚本を手掛けたが、1998年の映画「マーシャル・ロー」の脚本を書…
先月、日本の自衛隊の問題点について、どうすればいいのかの提言をまとめた「令和の国防」まで3冊の書を紹介した。 闘えるようにするには - 新城彰の本棚 (hateblo.jp) 2014年発表の本書は、小説の形を借りて「闘えない自衛隊」の問題点と、その解決策を示…
米中衝突の可能性が高まる中、2021年に出版された軍事スリラーが本書。作者は海兵隊特殊部隊出身の作家エリオット・アッカーマンと現役時代「最も優れた戦略家」と讃えられたジェイムズ・スタヴリディス提督。恐らくスタヴリディス提督が構想と監修を担当し…
いろいろな共著者を得て、スパイ&軍事スリラーを書き続けてきたトム・クランシーは、2013年に亡くなった。最後の共著者は「グレイマンもの」のマーク・グリーニーだったが、その直前にピーター・テレップと発表した(2011年)のが本書。主人公は、<統合タ…
2017年発表の本書は、昨年「北朝鮮急襲」を紹介した、トム・クランシー&スティーヴ・ピチェニック原案の<新オプセンター・シリーズ>。扶桑社から翻訳出版された4作目にあたる。実際の執筆は、ジェフ・ローヴィンとジョージ・ガルドリスキだ。 舞台は、今…
世界最強米軍は、数々の特殊部隊を持っている。今は正式に一軍になっている海兵隊だって、もともとは水陸両用の特殊部隊とも言えた。現状の特殊部隊の中でも一番厳しい訓練をし、高い資質・能力を求めるのが、海軍特殊部隊「NAVY SEALs」という。2012年に、…
昨日デイル・ブラウンの「幻影のエアフォース(2002年)」を紹介したが、その中にパイロットの脳が直接操縦する戦略爆撃機やMig戦闘機の話があった。本書はそれより20年早く1980年に出版された、類似アイデアに基づくもの。作者のスティーヴン・L・トンプスン…
本書は以前「ロシアの核」や「空爆指令」を紹介した、航空冒険小説作家デイル・ブラウンの2002年の作品。作者のレギュラーであるマクナラハン将軍ものとは別の「ドリ-ムランド」シリーズの第二作にあたる。 「ドリームランド」は、ネヴァダ砂漠の中に位置す…
本書(1991年発表)は、ジャック・ヒギンズの名作「鷲は舞い降りた」の続編。前作が完全版として再版されてから、10年の間隔を置いて発表されたものだ。チャーチル誘拐/暗殺に失敗して戦死したと思われていた、柏葉付騎士十字勲章保持者クルト・シュタイナ…
2018年発表の本書は、国際政治学者ジェフリー・ルイスが、金正恩・トランプの米朝交渉を背景に書いた軍事スリラー。韓国含めて3国の政治事情が詳しく盛り込まれていて、フィクションながら「あり得るかも」と思われる展開になる。小説だが巻末には15ページ…
昨日デイル・ブラウンの、やや荒唐無稽な軍事スリラーを紹介した。もうちょっとで「架空戦記」か「SF」の領域に入りそうだった。1996年発表の本書は、日本では数少ない航空軍事スリラー作家鳴海章の、「ユニコーン(国連航空軍)もの」。ソ連崩壊の後、彼の…
派手な航空(&宇宙)軍事スリラーが得意なデイル・ブラウンの諸作もいくつか紹介した。「ロシアの核」では、モルドヴァを巡ってウクライナ・ロシア両国が戦争状態に入り、核兵器が使われることになる。「ロシアの核」を読んだときには、まさか両国の熱い戦…
2017年発表の本書は、マーク・グリーニーの「グレイマン」シリーズの第六作。前作「暗殺者の反撃」でDCに戻り、自分を「発見次第射殺」の対象としていた勢力を駆逐し、CIAに復帰したコート・ジェントリー。今は「好きな仕事だけ引き受ける」立場にある。復帰…
2000年発表の本書は、昨年「ホワイトハウス・コネクション」までを紹介した、ジャック・ヒギンズの「ショーン・ディロンもの」。その続きがずっと見つからなかったのだが、ある日平塚のBook-offで見つけて即購入。前作同様、ディロンにファーガスン准将、バ…
2013年発表の本書は、マシュー・メイザーの2作目の小説。もとは自費出版のEブックとして世に出たのだが、サイバー攻撃の脅威をヴィヴィッドに描いていることが評判を呼び、20ヵ国ほどで出版されている。映画化の話もあったと言うが、実現したかどうかは定…
本書は2009年にNHK土曜ドラマで放映され、その後映画化もされた同題作品「外事警察」の原作本である。作者麻生幾はNHKから「テロ対策をテーマのドラマを作りたいので原作を」と依頼されて、本書を執筆したと巻末謝辞にある。対テロのスパイ&軍事スリラーは…
「鷲は舞い降りた」以下の軍事スリラーの名手、ジャック・ヒギンズが第二次世界大戦の地中海戦域での特殊作戦を描いたのが本書(1981年発表)である。北アフリカからようやくドイツ軍を追い出した連合国側だが、歴戦のドイツ軍(しかもロンメル将軍だし)に…
本書(2016年発表)は、「戦闘級のチャンピオン」マーク・グリーニーのグレイマンシリーズ第五作。CIAの優秀な「資産」だったコート・ジェントリーだが、なぜか米国の危険人物リストに入り「発見次第射殺せよ」との命令が出てしまっている。前作「暗殺者の復…
トム・クランシーとスティーブ・ピチェニックの共著になる緊急事態対処部隊「オプ・センター」シリーズは、「ノドン強奪」に始まり12作を数えた。これらは全て新潮社から出版されていたが、新「オプ・センター」シリーズが扶桑社から3作だけ出版されている…
コリン・フォーブズという作者の本を、手に取ったのは初めて。タンカーと救難ヘリのイラストに「黄金猿の年」というタイトル。創元推理文庫の中では「スリラー・サスペンス」に区分されていて、紹介文も裏表紙には無く目立たない本だ。 創元社の文庫は、あま…
1971年、本書によってフレデリック・フォーサイスはデビューし、それまでの軍事スリラーやスパイものを一気に時代遅れにした。作者はイギリス人だが、子供の頃から大陸に親しみドイツ語やフランス語も堪能、空軍パイロットを経てジャーナリストになり国際舞…
本書は先月ノンフィクション「ニッポンFSXを撃て」を紹介したジャーナリスト作家手嶋龍一の手になる、本格的なインテリジェンス小説である。解説は、これも以前紹介した「日韓激突」で作者と対談した元外交官佐藤優氏が書いている。その解説によればインテリ…
スコットランド生まれの冒険作家アリステア・マクリーンは、「女王陛下のユリシーズ号」でデビュー、第二作の「ナヴァロンの要塞」が映画化されてヒットし有名になった。生涯で30作余りの冒険小説を書き、おおむね半分の作品が映画化されている。 1976年発表…
以前「ロシアの核」を紹介したデイル・ブラウンの比較的新しい作品が本書(2004年発表)。作者はB-52の搭乗歴やF-111のテストパイロットだったことを売りに、1986年「オールドドッグ出撃せよ」で作家デビューしている。デビュー作のヒーローである米国空軍の…