新城彰の本棚

ミステリー好きの自分勝手なコメント

アバロンヒル(3)

 シミュレーションゲームに出会うずっと以前、小学生のころにもゲームに凝っていた時期があった。一番熱中したのは「バンカース」というもの。後に「モノポリー」を子供向けに簡素化したものだと知る。手軽な世界征服を楽しめる「リスク」などと並んで、難易度1~3程度のファミリーゲームだ。

 
 今回取り上げるのはアバロンヒルが出していたビジネスゲームのひとつ、「アクアイアラ」。クレジット業界では、全体を統括する「ブランド」、消費者を担当する「イシュア」、加盟店を担当する「アクアイアラ」で成り立っている。アクアイアラというのは、チェーン店などの店舗連携を管理する事業者のこと。
 

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 ここで扱われているのは、ホテルチェーン。ゲームは12×9の盤面で争われる。プレーヤー(最大6名)は若干の資金といくつかのコマを最初に渡される。コマには12×9のマス目のどこにあてはまるかが刻印されている。順番がまわってくると、コマをマス目に埋めていく。複数のコマが隣接するとホテルチェーンが設立される。設立したプレーヤーは、そのチェーンの株式を1つ受け取る。
 
 ただそのプレーヤーはチェーンのオーナーではない。チェーンの株は公開なので他のプレーヤーも買うことができる。これは公開株の買い占めゲームなのだ。面白いのはここからで、どんどんコマが置かれるとホテルチェーンが大きくなってくる。つながっている数が多いほど大きなチェーンで、株式総額も大きくなる。
 
 マス目は12×9しかないので、いずれは複数のチェーンがつながってしまう事態が起きる。ここがバトルのハイライト。つながると、より大きい方のチェーンが小さい方を吸収合併してしまう。
 
 合併され消失したチェーンの株はカミクズになる(うう、悔しい)が、第一第二株主だけは賠償金が貰える。この賠償金をいかに受け取るかがバトルの本質。つまり潰れそうなホテルの第一株主にいかになるか、せめて第二株主になるにはどうするかが、プレーヤーの知恵の絞りどころ。
 
 ルールは難しくないから、初めての人にもその場で説明してゲームに加わってもらうことができる。恰好のパーティゲームである。それでいて、株の買い占めとか賠償金による焼け太りとか、ビジネスの醍醐味も味わえる。まあ、この経験で性格が悪くなる人もいますがね。
 
<続く>