新城彰の本棚

ミステリー好きの自分勝手なコメント

Epoc Games

 国産のシミュレーション・ゲーム・メーカーとして、エポック社もメジャーを目指した企業だった。「バルジ大作戦」や「D-Day」、「独ソ電撃戦」、「装甲擲弾兵」など第二次欧州大戦を舞台にした定番もののほか、米国ではあまり知られていない「日露戦争」のようなテーマや、日本史ゲームも出版した。

 
 ルールが難しいとか戦闘結果判定が煩雑だという批判に対しては、電子的なエイドを付加した"EWE" というシリーズも出した。まあPCゲームとボードゲームの中間的な位置づけだったかもしれないが、ある意味半端でありキワモノとして消えていった。
 

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 エポックゲームで今残っているのがこれ。オリジナルのものは無くなってしまったが、最近復刻された「日本機動部隊」。デザインは、日本伝説のデザイナー鈴木銀一郎。太平洋戦争を作戦級で再現したもので、真珠湾攻撃からガダルカナル争奪戦の頃までのシナリオが用意されている。
 
 戦略級であれば、何隻かの航空母艦護衛艦隊を付けて敵基地に向かわせ「空襲する」と言えばサイコロが結果を教えてくれる。作戦級で少々戦術級の趣もあるこのゲームでは、空襲するにも、
 
 ・まず索敵、特に目標が艦艇の場合にはその位置を確認しなくてはいけない。
 ・うまく見つけたとしても、艦種を間違えることは良くある。最初「敵艦隊には空母を含まず」と言ってきたのに、
  しばらく経って「後方に空母らしきもの1隻を伴う」と言ってきたりする。
 ・空母がいるならこちらも空襲をうける危険がある。航空甲板を叩くための急降下爆撃機を整備して、戦闘機
  の護衛も付ける。同時に自らの上空を守る制空戦闘機も発進させないといけない。
 
 プレイヤーは大変忙しくなって、(真実ではないということだが)ミッドウェーの運命の5分間を経験することもできるわけ。似たようなテーマでアバロンヒルが"Flat Top" というビッグゲーム(コマ数が半端でない)を出していた。それに比べて、これは簡単なルールで十分なリアリティを与えてくれる好ゲームだった。