南部の白人たちにとっては黒人奴隷の労働力で綿花を栽培/収穫するのが最も大きな産業だったが、南北戦争(州間戦争と彼らは言う)に敗れてから黒人労働力にかけるコストが上がり、害虫被害も出て生活は苦しくなっていた。もちろん、黒人たちもより苦しい生活を強いられている。リー署長が目を掛けていた貧しい黒人少年ウイリーも、食品を盗もうとして捕まり、後に失踪する。
崖から落ちた犠牲者に続いて、4年後に第二の事件が発生する。今度も若い白人青年が.45口径の銃で撃たれて死んでいるのが発見された。彼も、拘束され拷問を受けていたらしい。リー署長の捜査は進展しなかったが、ある日通販で手錠を2組発注した男がいることを知る。その男を調べようとした矢先、リー署長は不幸な事件に巻き込まれて命を落とし、事件は再び闇の中へ戻った。
さらに20年近くたち、リー署長の忘れ形見ビリーはジョージア州の副知事にまでなった。彼は軍を退役したワッツ憲兵少佐を新しいデラノ署長に推薦するのだが、ワッツ新署長は黒人だった。部下は全員白人、街の重鎮からも白眼視されるワッツ署長だが、着実に実績を積み重ねていく。ある日、彼はリー署長やサニー署長代理時代の資料に触れ、いまだにデラノ周辺で若い白人の失踪が続いていることを不可思議に思う。
猟奇殺人、人種差別、田舎町の生活模様の3本の糸が、見事に織りなされて圧巻の大河ドラマを構成している。何人かの大統領もちょい役(!)で登場して、物語に深みを与えている。TVドラマでは、全編を通じて語り手のような立場にある銀行家ヒュー・ホームズを、名優チャールトン・ヘストンが演じていました。全米ライフル協会の会長だった彼の、まさに「はまり役」でした。