新城彰の本棚

ミステリー好きの自分勝手なコメント

シュトゥットガルトを食べる

 13あるドイツ連邦の州で南ドイツと言えば、一番有名なのはバイエルン州ミュンヘンを始め多くの観光地もあるが、ダイムラーシーメンスなどの重工業も盛んなところである。その西隣、バーデン・ヴュルテンベルグ州の州都がシュトゥットガルトであり、このあたりも工業が基幹産業である。

 

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 僕はこの州のスイス国境の街コンスタンツで、やはり重工業の企業と一緒に仕事をした経験がある。だから、行ったことのないベルリンなどに比べて南ドイツには親近感がある。本書にあるように、ワインやビールはもちろん、ソーセージの作り方やジャガイモの食べ方まで北と南では全く違う。
 
 筆者の川口マーン恵美さんは、シュトゥットガルト在住25年。バイエルンからバーデン・ヴュルテンベルグ州にかけてを中心に、ドイツのいろいろな食について主婦目線でまとめたのが本書である。
 
 ブレッツェルというパン、白アスパラ、ボジョレー・ヌーボー、地ワイン、チーズ、肉料理、魚料理からコーヒー、ケーキに至るまで多くの食べ物/飲み物について記載されている。いくつかの料理については、その作り方も書いてある。ワインや蒸留酒についての記述が少ないのが、呑み助の僕にとっては残念だが、さすがにビールには1章設けてコメントしてくれている。
 
 ドイツ南部のビールは、贅沢に小麦を使ったものも多い。いわゆる「ヴァイツェン」である。恵美さんのおすすめは、ヘッフェヴァイツェン。濁りのある薄い茶色のビールで、独特の香りとコクがあるのが特徴。この他に、金色に近い薄い色のクリスタルと、ずっと濃いドンケルスヴァイツェンがあるのだが、本書には僕の好きなドンケルスの記述はない(残念)。ただクリスタルはヘッフェを漉したものだとあって、なるほどヘッフェはあの濁りがコクの基だったのねと理解した。
 
 加えて興味深かったのは、白ソーセージ。やはり南の特産で、贅沢に子牛肉を使うらしい。足が速い(傷みやすい)ので、お昼の鐘の音を聴く前に食べてしまえとの言い伝えがある。普通の豚肉のものと違って、皮は食べない。焼くような乱暴はせず、70~80度のお湯(沸騰厳禁)でゆっくり温めるのが美味しい食べ方。
 
 ビールもソーセージも、食べ物については南の方が贅沢ですね。・・・こんな話を読んでいたら、またドイツに遊びに行きたくなってしまいました。