新城彰の本棚

ミステリー好きの自分勝手なコメント

強竜の時代

 成績不振で中日ドラゴンズの監督を退いた森繁和氏であるが、かつて本書で自分の矜持を書いている。最初にハードカバーで出て、その後ペーパバックで出版されたものである。再版にあたって、60ページばかりが追加されていた。

 
 落合監督と森コーチ(投手コーチからヘッドコーチと役割は変った)の8年間(2004~2011年)の戦績は、セリーグ優勝4回という輝かしいものである。以前「采配」という落合氏の著書についてもコメントした。このところ低位に沈んでいる球団の成績を考えると、隔世の感がある。
 
 それでは何が違うのか?一つには、選手の練習量が減ったということ。常勝軍団だった頃は、自主トレ、キャンプだけではなく、シーズン中もトレーニングを続けていたという。本書には同じくらい練習していたのは広島だけだとある。ここ数年の広島カープの強さを納得させる言葉だ。

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 もう一つは情報統制。選手のコンディションや先発、ベンチ入りメンバーの情報などが相手チームに漏れるようでは闘うまえから負けている。それが、多くのチームではできないのもまた事実だ。球団OBなどが「ちょっとだけ」と寄ってくれば、先輩なので断りにくいのも人情。しかし、落合-森ラインは情報統制を徹底した。情報漏れを起こせば主力選手でも二軍落ちやクビの危険にさらされる。
 
 ある意味当たり前のことなのだが、新聞などは情報漏れを書き、読者もそれを喜ぶから問題は根深い。ましてや中日ドラゴンズの親会社は新聞社・・・。リーグ優勝をしながらも落合監督解任に至ったのは、勝ってはいるが面白くないとの親会社の判断があったようだ。
 
 (勝ちと違い)負けに不思議な負けはないという。当たり前のことを当たり前にやれば道は拓けると、この2冊の本は教えてくれる。ビジネスの世界でも、同じことでしょうね。