新城彰の本棚

ミステリー好きの自分勝手なコメント

気分はヒトラー?スターリン?

 「コロナ禍」が欧州を席巻していて、「第二次欧州大戦以来の悲劇だ」と現地メディアが伝えている。その戦争は80年前に欧州全土をまきこんで始まったのだが、原因は第一次欧州大戦の後処理のまずさと、米国発の大恐慌だった。欧州全体が不況で失業者があふれ、各国は自国第一主義ブロック経済に走り、強権的な政府の台頭を招いた。今回の「コロナショック」が、各国をその方向に向かわせないことを切に祈る。

 

 第二次欧州大戦を扱ったゲームは無数にあるが、6年近い戦争をプレイアブルに完遂できるとしたらこのゲームが一番いい。それはアバロンヒルの「Third Reich」。プレーヤーはドイツ・イギリス・フランス・イタリア・ソ連アメリカの戦争指導者としての立場になる。

 

 もちろん一番人気はドイツで、緒戦ではゲーム中唯一の空挺部隊を持ち、装甲戦力も空軍力も群を抜いている。対峙するイギリスは海軍力こそ最強だが、エジプト・ジブラルタルなど本土から遠いエリアも守らなくてはいけないし、陸上戦力は手薄だ。

 

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 「大陸軍国」だったはずのフランスは、コマの数は多いが役に立たない陸上戦力に悩まされる。「地中海を風呂おけ」と豪語するムッソリーニのイタリアも、数は多いが臆病者の海軍が心もとない。最後にソ連だが、初期には陸上戦力が弱すぎるし数も足りない。

 

 1ターンは3カ月だから、6年弱戦うとしても20ターン余りで決着がつく。戦闘結果は、単純に戦力(空軍・空挺・陸軍の合計、防御側の陸軍コマの戦力は2~3倍)比による1個のサイコロの目で決まる。付近の全戦力を投入したスターリングラード攻撃で1の目がでて「攻撃側全滅」なんてことになったら目も当てられない。

 

 このゲームはソロプレイも面白いのだが、複数できれば6人でやると最高に盛り上がる。ひとり1陣営の場合には、素直にイタリア軍部隊はドイツのフランス攻略に参加するのだが、別人がプレーしていると、ムッソリーニ君は「分かった参戦しよう」とヒトラー君に口約束しておいて、勝手にユーゴスラビアに侵攻したりする。

 

 パリが墜とせなくて困ったヒトラー君だが、チャーチル君が(これも)勝手に大陸派遣軍を引き上げて地中海に送ってくれたおかげで、フランス降伏を勝ち取ることが出来たりする。もちろん、ゲーム終了後の人間関係については、ゲームデザイナの知ったことではない。40年近く使い込んだこのゲーム、懐かしくてつい広げてしまいました。