新城彰の本棚

ミステリー好きの自分勝手なコメント

女流アクション作家・・・なの?

 本書は米国のミステリー作家ポーラ・ゴズリングのデビュー作で、英国推理作家協会賞を受賞した作品である。この作者の作品を読むのは初めてだが、噂では作風の広い人だという。裏返すと、パターンのない作家という評価も聞こえてくる。

 

 殺し屋につけ狙われる女性と彼女をガードする狙撃手出身の警部補の話だと、裏表紙の解説にあったので「女流作家のラブ・サスペンス」と思って読みはじめた。ところが・・・

 

 カリフォルニアで広告会社のチーフを務める30歳のクレアは、ひょんなことから殺し屋の素顔を見てしまう。殺し屋のことなど覚えていない彼女だが、殺し屋エジソンは見逃すわけにはいかない。目撃者を消そうとする。2日後に会社帰りに狙撃されたのは軽傷で済んだが、退院して恋人と自宅に帰ると冷蔵庫に爆弾が仕掛けてあり恋人が爆死する。

 

 警察は彼女がエジソンに狙われていることに気づき、この誰も素顔を知らない犯罪者検挙の切り札と彼女を考え保護する。保護の指揮を執ることになったのが、ヴェトナムで狙撃手だった警部補マルチェック。

 

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 実はサンフランシスコ市警本部にもエジソンの「情報網」は存在していて、クレアは隠れる先々で狙われる。マルチェックらが難とか撃退するのだが、マルチェック自身戦場で100名近い人間を殺し、最後は罪のない老人を誤射したPTSDに悩まされている。クレアとマルチェックはついには全ての護衛を失って2人だけで逃亡することになり、朝鮮戦争で狙撃手だったというエジソンが迫ってきた。

 

 「ゴルゴ13」「子連れ狼」などの原作を担当した小池一夫は、「ヒーローには弱点を」持たせるのがいいと言った。マルチェックはタフガイだが、PTSDの他に持病も持っていてエジソンとの対決時に発症してしまう。

 

 確かにクレアとマルチェックの間に恋が芽生えるラブ・サスペンスなのだが、とても女流作家と思えないアクション場面の多さだ。巻末の解説で、本書がシルベスター・スタローンブリジット・ニールセン主演の映画「コブラ」の原作と知って驚いた。ちなみに二人はこの映画公開時には夫婦だった。

 

 まずまず面白い小説でしたが、ラブ・サスペンスとしてもアクション小説としてもちょっと中途半端な印象です。マルチェックのイメージはマッチョマンであるスタローンとは違うのですが・・・。