新城彰の本棚

ミステリー好きの自分勝手なコメント

大きな政府=小さな国民

 筆者の渡部昇一教授は、英語学者。「隷従への道」などで知られるノーベル賞経済学者ハイエクら知の巨人と交わり、歯に衣きせぬ論客として鳴らした人である。本書はその数ある著書の一冊(1996年発表)だが、なぜ書棚に残っていたのか記憶にない。多分「歴史の鉄則」という題に魅かれて買ってきて、戦争ものではなかったのでそのままにしておいたのだろう。

 

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 「COVID-19」対応のバラマキ施策の連発で、新しい社会保障(例:BI)や増税を考えなくてはいけない時期なので、副題に「税金が国家の盛衰を決める」とあったので読んでみた。正直、目からウロコで、考え方の根本が変わってしまうほどの衝撃を受けた。筆者は「小さな政府」こそ最良と考え、税金は国民全ての収入の1割均等に徴収し、その範囲内で政府支出を賄うべきと主張する。具体的なポイントを以下列挙する。

 

・小さな政府が理想、政府が大きくなると国民が小さくさせられる。

・全国民から収入の10%を納税してもらう。税金はこれが全て。

・税収を越える政府支出は(戦争などの例外を除き)これを認めない。

累進課税は嫉妬のなせる業、正義の税制とは言えない。

・高率の税金は、有能な企業・個人及び資本を海外に追いやる。

・民主主義は手段、目的は個人の自由を守ること。自由のうちには財産権も入る。

・物好きな金持ちが大金をはたくから、イノベーションが起きる。

・複雑な税制は、節税に力を尽くす人を増やし、社会全体を非効率化する。

・税務署員の大幅な削減につながらない税制改革は、無意味か社会悪だ。

・配給はダメなもの、闇市の方がずっとマシ。

 

 脱税は良くないが、もっと良くないものとして税金の無駄遣いがある。定められた予算だから消化しないといけないという霞ヶ関の論理は、筆者には唾棄すべきものに見えたようだ。筆者は英国のサッチャー改革を例に引いて、個人所得の最高税率83%、最低税率33%だったものを、次第に改めて40%と25%の2段階にした意義を示した。

 

 すでに「大きな政府」か「より大きな政府」しか選択肢の無くなった日本の政界、本書の思想を実現してくれそうなのは「維新の会」くらいでしょうか?僕はメディアに「新自由主義者だ」とのレッテルを貼られても、小さな国民にされてしまうのはやっぱりいやですね。