新城彰の本棚

ミステリー好きの自分勝手なコメント

トランプ先生は戦争を起こせるか?

 先週「軍人が政治家になってはいけない本当の理由」を紹介したが、その中で米国で軍によるクーデターが一度も起きていない理由として、米軍が以下の点を徹底していることが挙げられていた。

 

・政治決定に対する絶対的な服従

・政治的な中立性

 

 それゆえに、本来10日ほどは隔離入院すべき「CONID-19」患者であるトランプ先生が、わずか3日で退院できたことを、別ブログでだが推測した。大統領選挙戦は混迷を深めていて、再選の目が無くなりそうになったら彼はどこかで戦争でも起こして「戦時の大統領」として居座るのではないかとさえ思えてくる。

 

 そんな理由で米国大統領と戦争の関係をまとめた本書(2002年発表)を再読してみた。著者はNHKの解説委員だった人。本書で取り上げられた戦争は9つ。

 

独立戦争

・1812戦争

メキシコ戦争

南北戦争

米西戦争

第一次世界大戦

第二次世界大戦

朝鮮戦争

ベトナム戦争

 

 があり、初期はともかく国体がまとまってきてからは、主に大統領が勝手に戦争に突入することを防ぐスキームが固まってきた。それは宣戦布告は議会が行うことを定めているし、戦争に必要な予算も議会が承認しなくては使えないからだ。

 

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 したがって米国は、第一次/第二次の世界大戦でも参戦は遅れることになる。三権分立が定着していて、十分な抑止力となっているわけだ。加えて最初に述べたように、軍は政治決定に服従するから単独の暴走もあり得ない。

 

 ただ気になるのは、ベトナム戦争以降も米国はイラクのクゥエート侵攻からの湾岸戦争や9/11テロの後のアフガニスタン戦争を戦っていること。これらは筆者が書き洩らしたのではなく、議会が宣戦布告をしていない単なる「事変」だからだ。軍事力を行使するには以下3つの条件のいずれかが必要で、

 

・議会が宣戦布告

・大統領に法律に基づいた権限が与えられる

・国家の非常事態が発生

 

 湾岸戦争では(父)ブッシュ大統領が議会から2番目の条件を付与され、アフガニスタン戦争では(子)ブッシュ大統領が3番目の条件だと派兵に踏み切った。近年だけでも、二度議会の宣戦布告なしの軍事行動はあったのだ。

 

 なにもかも破天荒なトランプ先生のことですから、民主党多数の議会が首をタテに振らなくても、なにかしら騒ぎを起こして戦端を開くなどということはあるかもしれません。これが杞憂で終わってくれればと願うばかりです。