本書はJ・P・ホーガンの「ガニメデの巨人」シリーズの第二作、前作では、
・月の裏側で発見されたルナリアン
死亡推定時期は5万年前。遺伝子的には完全に人類だが、現(2029年)人類の及ばぬ技術を持っている。
・木星の衛星ガニメデで発見されたガニメアン
2,500万年前の宇宙船と共に発見される。身長8フィートの巨人で、親指が2本ある6本指の手をしている。こちらも高度な技術力を持っている。
https://nicky-akira.hateblo.jp/entry/2020/06/01/000000
この謎を解こうと、原子物理学者ハント教授・生物学者ダンチェッカー教授らはガニメデでガニメアンの宇宙船の調査を続けていた。そこに生きたガニメアン数百人を乗せた宇宙船がやってくる。ガルースというその船の船長や科学者、通訳役のコンピュータ(今でいうAIか?)ゾラックから、教授たちは驚くべき話を聞く。
今は冥王星や木星・火星間の小惑星群になってしまったが、惑星ミネルヴァがそこにあった。ミネルヴァは地球より外殻にあるので、太陽系誕生時に早く冷え、地球と似た生命体を産んだ。ガニメアンはその頂点の生物。しかし環境変化でミネルヴァに住めなくることがわかり、ガルースたちは他の恒星系に行ってガニメアンが生き延びる実験をしていた。しかし恒星爆発が起こり、緊急に亜空間移動をしてミネルヴァに戻る間に、太陽系では2,500万年以上が経過していた。
思わず交流することができた、人類とガニメアンたちの文化の相違が面白い。ミネルヴァではほとんど肉食生物がおらず、ガニメアンも争うことを知らない。だからミネルヴァの巨大な猛獣も、見かけは恐ろしいのだが人を襲うことはない。彼らはアフリカの草原でライオンがシマウマの群れを襲う映像を見て恐怖する。
教授たちはガニメアンとルナリアンの関係や、ガニメアンが地球を訪れていないかと聞くのだが、いつも快活なガニメアンたちもその話題は避けて口を開かない。しかしある時「地球は悪夢の惑星」と彼らが思っていることを知る。
終盤両教授が繰り広げる、特に遺伝子工学、生態系に係る議論は、門外漢の僕にはちょっと重すぎます。しかしルナリアンの秘密や人類の成長の秘密(本書では奇跡とある)にいたる推論は恐ろしいものです。第三作「巨人たちの星」はまだ入手できていません。早く探さないと、謎が謎のままですよ。