2週間ほど前、横江公美著「隠れトランプのアメリカ」をご紹介した。11/3投開票だが、郵便投票などもあり簡単には決着しない。それを狙って10/31に緊急出版されたものだ。本書はもっと切迫した緊急出版、突然の安倍総理の辞任に伴い「安部後継」を自認していた岸田(当時)政調会長が、総裁選出馬に当たって出版したものだ。初版は9/15となっている。総裁選投開票は9/14だったから、出版日より多少早く印刷されたとしても「間に合った」とは思えないが。
https://nicky-akira.hatenablog.com/entry/2020/10/07/060000
実はこの本は、別ブログで紹介した「宏池会と語る会」に参加した時のお土産の中に入っていたもの。プリンスホテルのレトルトカレーもそこに入っていて、やたら重いなと感じた。「宏池会と語る会」の時もすでに総裁選は終わっていて、読む気になれなかったのだが、先日「平井卓也朝食セミナー」で再び岸田先生の話を聞く機会があり、帰宅してから手に取った。
全250ページ中、前半100ページに外務大臣時代や政調会長時代、特に「COVID-19」対応の政策提言を自民党としてとりまとめた話などが書かれている。続く100ページはご自身の幼少期から学生時代、銀行員時代から亡くなった父親の地盤から衆議院議員になって選挙を戦い抜く話。最後の30ページが「宏池会」の歴史である。
まえがきにこれらのことや、総理総裁になったらこうするという政策提言もあるとあったので読んだのだが、提言らしいのは下記くらいである。
◆アベノミクス3本の矢のうち「成長戦略」が重要なので以下5原則で進める。
・資本主義のあり方を見直す ⇒ 中小企業等を重視した修正資本主義らしい
・人材の重視
・集中から分散 ⇒ 東京一極集中から「デジタル田園都市構想」へ
・分断から協調
「分断から協調」は本の表紙にも書かれているキーワードだが、狭義には伝統ある「大宏池会」が「加藤の乱」などで分裂したものを自身のもとで復活させたいとう想いらしい。広義には、国際的な一国主義の流れを止め、核軍縮や温暖化対策を進める。国内でも貧富の格差を是正し、中間層の復活を目指すもの。
特に異論はないのですが、正直「緊急出版」が少し遅かったのではないかと思います。総裁選まで、何人の人が読めたのでしょうかね。