新城彰の本棚

ミステリー好きの自分勝手なコメント

地球という乗り物で未来へ

 本書もこの10月末に出たばかりの本、なぜ読めたかというとこれも筆者と長い付き合いだったから。白井均氏は企業系シンクタンクの長を長く務めた人。偶然にも同期同窓だが文系・理系の違いがあり、学生時代に出会っているわけではないし、仕事の分野が接してきたのもお互い40歳を超えてからだったと思う。地域活性化や電子行政、今でいうSmart Cityなどのテーマでご一緒させてもらった。

 

 立場や視点が違うのだが、同じようにGlobal&Digitalのことに明け暮れる20年だったと思う。だから本書の主張にはうなづけるところがほとんどなのだが、より踏み込んだ指摘がいくつかあるので紹介したい。筆者は深化する地球規模の課題に対して「Geo-Challenges」をすべきだとして、その4構成要素は、

 

Geo-politics

Geo-economics

Geo-technology

Geo-environment

 

 だという。もはや企業は「地球市民」であり、特に4番目の要素について思いを新たに挑戦すべきだということ。地球温暖化をはじめとする環境問題は、確かに待ったなしのところまで来ているのだが、一般の企業にはもっと目の前の課題が山積みで経営者の目が届いていない。

 

        f:id:nicky-akira:20201127193626j:plain

 

 そこで「地球市民」であることに目覚めてどう挑戦するかが、本書にガイドされている。感じたのは筆者の企業に対する温かな視線、僕などは「企業は儲かるか、損しないためにしか動かない」と割り切っていて、xxしないとマズいですよと脅すのだが、筆者は「一緒に地球という乗り物に乗って未来へと旅するのだから」と企業経営者に挑戦を促している。

 

 本筋とは違うのだが、勉強になった一節があって、筆者が学生時代に共産主義について教授に尋ねたところ、

 

 「真の共産主義社会は資本主義社会が高度に発達し、生産力が豊かな需要を満たすまでに高まって初めて実現する」

 

 との回答だった。当時のソ連などの共産主義は、マルクスらが考えたものとは違うという意味だろう。本書は、デジタル化がマルクスの理想を実現する可能性についても触れている。このあたりが工学部出身者には及ばないところである。あと興味深かったのは現在の国際社会を、

 

・内向的な資本主義:米国など

・国家資本主義:中国など

 

 と分けたうえで「超国家資本主義」という区分を加えていること。これはGAFAなどの国家を超越したグローバル企業のことらしい。このあたり、僕も興味あります。また別途教えてもらいましょう。