新城彰の本棚

ミステリー好きの自分勝手なコメント

Command Magazine

 SPIやアバロンヒルのゲームを買いあさっていた時代は、おおむね30年前に終わってしまった。一つの理由は箱が大きい「Big Game」が増えてきて、置き場所が無くなったこと。もう一つは、仕事が忙しくなってゲームに割く時間がなくなったことだ。

 

 僕だけでなく日本のゲーマーたちが、部屋にMAPを広げ、コマを進め、サイコロを振り、戦闘結果表を確認し・・・というアナログゲームの面倒くささに閉口してきたような気もする。子供のおもちゃと思っていたファミコンなどのデジタルゲームがグラフィックなど含めて充実してきたせいもある。

 

 いつの間にか、アナログシミュレーションゲームを扱うお店も無くなっていった。ある意味残った最後の砦が神保町の古本屋街にある「書泉グランデ」。15年ほど前に見つけて、懐かしさで時々立ち寄るようになった。そこで見つけたのが、復刻された昔のアナログゲームたち。新作もあって、とても嬉しく思った。

 

        f:id:nicky-akira:20200405193755j:plain

 

 これらのゲームを出版し「Command Magazine」という雑誌を出してくれるのが「国際通信社」。大きな名前の割には、資本金1,000万円、非正規含めて600人の小さな会社。それでも、日本の出版社としてアナログゲームを出してくれる唯一の会社だ。

 

https://commandmagazine.jp/index.html

 

 写真は復刻ではなく新作ゲーム。太平洋戦争の戦略級ゲームで、何か一つ買おうとするとどうしても太平洋戦争モノになってしまうのは日本人ゆえ仕方ない。戦略級だが軍艦マニアに喜ばれるように、重巡洋艦以上の艦船が一つの駒になっている。ゲームのルールは4ページしかなく、初心者でもとりあえずプレイすることはできる。

 

 ルールはシンプルなのだが、それだと変化が少ない。例えば、

 

・ミッドウェーでの運命の5分間

鉄底海峡での酸素魚雷の威力

・レイテ沖、栗田艦隊運命の反転

 

 のようなエピソードが盛り込めないのだ。そんなルールを入れれば、どんどん複雑化して「Big Game」になってしまう。このゲームはその点を、作戦カードというものを導入して解決している。カードには上記のような特殊な事件を再現する内容が書かれていて、日米両軍プレーヤーは自分のカードを最大限に活かせるシーンを夢見てプレイすることになる。

 

 まだ日本にアナログゲームデザイナーがいてくれたことに、かつてのゲーマーは感謝していますよ。