新城彰の本棚

ミステリー好きの自分勝手なコメント

投資家から見た日本・中国・ロシア

 2日続けて「中国は覇権国になれない」とする、政治・経済の専門家と軍事の専門家の著書を紹介してきた。今日は「いや覇権国になれる」とする意見も紹介しよう。以前「お金の流れで読む日本と世界の未来」を紹介した、伝説の投資家ジム・ロジャーズ氏が「お金・・・」の次に書いたのが本書。著者はシンガポール在住で、日本からインタビュアーが行き、聞き出したことを日本語でまとめたものだ。

 

 内容的には「お金・・・」と被るところもあるので、本書で深堀されたことを中心にまとめてみた。まず日本だが、筆者は2011年から日本株に投資してきたが2018年には全て手放したという。もう日本が投資先として不適切だと考えた最大の理由は、1,000兆円にもおよぶ政府債務。今は1,200兆円を越えているので、確かにこの対策が日本最大の課題だということはわかる。

 

 加えて日銀のジャブジャブ緩和政策、移民を受け入れないこと、オリンピックが国力を削ぐなどの問題点を挙げている。日本はとてもいい国なのだが、国民はそれに気づかず目の前の事に一喜一憂しているという。自分が10歳の日本人なら、可能な限り早く出国すると言っている。

 

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 次に中国、1990年代には魅力的だが不潔な国だった。それを共産党が投資をして清潔な国に変えるというので、1990年代の終わりに投資を始めた。次はアジアの世紀だと思ってシンガポールに住んでいるが、娘たちには中国語を習わせている。中国は米国の何倍ものエンジニアを育て、特許その他でも優位に立っている。恐らく覇権国になるだろうという。

 

 トランプ政権の保護主義は全くの誤りで、Huaweiを禁輸しても自国の産業が助かるわけではないとの主張。確かに経済学的にはその通りなのだが、安全保障面の考察はなかった。驚いたのは、ロシアの有望性を著者が力説していること。資源大国だし、農業が復活してきている。シベリア開発に投資すべきだとある。僕などはプーチンだからもっているような国、次の指導者によっては再び瓦解するかもと思っている。

 

 国際情勢についてはうなずけないところも多いのですが、人生訓については非常にためになりました。情熱が必要・お金の勉強を怠らない・何のために稼ぐかを考えて・・・もう僕は10歳には戻れませんが、本書の教えは時々思い出すことにします。