新城彰の本棚

ミステリー好きの自分勝手なコメント

これなら争点になるのだが・・・

 近づく総選挙、野党の中でも維新の会は「ベーシック・インカム」と消費減税を掲げて戦う姿勢。野党第一党立憲民主党は「枝野ビジョン」は出たものの、抽象度が高い。共産党との合同出版も延期となり、政策の基本線が見えてこない。

 

 2017年の総選挙直前、民進党は分裂騒ぎを起こして立憲民主党・国民民主党等に別れた。両者の間には、先ごろのNHK日曜討論を見ても隔たりが大きいと感じる。しかし分裂前には「All for All」の旗を掲げ「誰一人取り残さない政治」を目指した政策研究が進んでいたと、本書(2019年発表)の冒頭にある。

 

 本書はその頃議論されていた政策について、慶應大学井手教授と民進党議員らが8編の小論文を書いて教授がまとめたもの。編者は以前紹介した「続・下流老人」で筆者の藤田孝典氏を助け、共存型の再分配モデルを提唱した経済学者。基本政策として、

 

・子育て、教育、医療、介護、障碍者福祉などをベーシックサービスとして無償提供

・そのための財源として、消費税額を7%強増税

 

 を提唱している。

 

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 おそらくは2017年以前に民進党内で議論された内容で、党分裂で表に出せなくなったものを発表したものと思われる。編者以外に7名の国家議員が各論を寄稿している。

 

◇国民民主党 川合孝典参議院議員

 世代間対立を和らげる、厚生労働政策(定年延長と社会保障費の見える化

◇国民民主党 矢田わか子参議院議員

 多様性を力に変えるジェンダー&子育て政策(子供の貧困対策、教育費軽減)

立憲民主党 岡本あき子衆議院議員

 みんな違っていい障碍者福祉政策(就労移行、定着支援)

◇国民民主党 階猛衆議院議員

 金融不安を解消するパラダイムシフト(株主価値⇒共通価値、資金提供⇒人材提供)

立憲民主党 逢坂誠二衆議院議員

 地域主権による地方創生(自治体財政改革、一括交付金への集約)

立憲民主党 小川淳也衆議院議員

 価格政策・経済政策・社会政策と財政健全化の並立(長期にわたる消費増税

 

 井手教授の総論と完全にマッチしているのは小川議員の消費増税だけなのだが、大きな方向性には共通点はある。政府による教育投資不足を訴えるものもあるが、教育現場の改革遅れを嘆くべきだと僕は思う。

 

 個別各論はともかく、政策指針の旗として両民主党が連合してこれを掲げるなら、次の次期総選挙も面白くなると思うのですが。