2017年発表の本書は、産経新聞記者宮本雅史氏が、北海道や対馬などで外国資本が土地・施設・水源地・発電設備・観光資源などを買い漁っている実態を告発したもの。現在武蔵野市で外国人に投票券を認めた住民投票条例案が審議されているが、芦別市はじめ北海道の複数の自治体では、すでに常設住民投票の仕組みが出来上がっているとある。
その背景には、北海道の過疎地を中心に外国人、特に中国人の進出が著しいという事実がある。どのように「進出」しているかというと、
・観光ビザで入国して、個人で土地を買収する。
・中国資本の入った日本企業が、土地等を買収する。
というわけ。日本には外国人に土地を売ってはいけないという規定はなく、購入しても登記は義務付けられていないので、表立ってでも、正体を隠した状態ででも、自由に土地所有ができるという。本書は、北海道各地で増殖する、
・中国語の看板が立って立ち入り禁止にされた農地、山林、水源地
・中国人富裕層向けの高級別荘用地やゴルフ場、発電施設
・日本人がほとんど利用しない(できない)観光施設
の例を列挙している。
では彼らの目的は何かと言うと、
1)中国人コミュニティを作り自給自足体制を整備する
2)ある時点(住民の相当数を占めた時)地方の議会や行政を乗っ取る
3)軍事的に重要な拠点(例・小樽港を見下ろす高台)は早期に抑える
ようにして、北海道を植民地化するのだと筆者は主張する。自民党議連の「経済安全保障」提言の重要項目のひとつに「土地取引」があったが、このような事態を受けて揚げられたものだろう。
この「ある時点」までは地元民と共存・恭順の体をして、豹変して乗っ取る手法は新疆ウイグルで取られた戦術だという。中国としては、日本海を内海とし、太平洋に出る航路を拓くために、北海道・津軽海峡・佐渡島と対岸の新潟は是非ほしい土地である。
一方対馬には韓国資本の流入が続いているが、こちらは軍事というよりは「安い日本」を買いに来ている経済的な動機のようだ。いずれのケースにも、現地の人達は会社や土地を売りたくても日本人は買ってくれない悩みを持つという背景がある。彼らにとっては、今は中国・韓国資本でも買ってくれるなら仕方がないということ。
さて、この問題。経済安全保障論議の中で、どのように扱われていくのでしょうか?