一昨日外交官の認識(1993)、昨日ジャーナリストらの目(2004)で日本がどう見られていたかを教えてくれる書を紹介した。本書は2021年時点での「日本人ジョーク集」、すでに3冊出版されているシリーズの「令和編」だ。著者の早坂隆氏はノンフィクション作家、こういう軽めのものからノンフィクション戦記まで幅広いジャンルの著作がある。
ジョークとはいえ(だからこそか?)、各国の国民性や状況を鋭くえぐったものも多い。例えば、
◇マスク政策
・米国政府 マスクをすると英雄になれる
・ドイツ政府 マスクをするのがルールだ
・イタリア政府 マスクをするとモテる
・日本政府 みんなマスクをしている
◆「COVID-19」禍に必要なもの
・米国人 勇気
・ドイツ人 規律
・フランス人 愛
・日本人 医療技術
・ロシア人 ウォッカ
という具合。「COVID-19」感染拡大防止のため、各国は強力な規制(ロックダウン等)を布いたが、日本は「自粛・お願い」で感染を抑えてしまった。これには各国から賞賛とも皮肉ともとれる反応があった。市民が一斉にマスク姿になったのも、マスクをするのは(覆面と同じで)悪いヤツと見られる欧米の人からは、理解されなかった。
各国のジョーク集から、筆者が「ぶっちゃけ、日本はどう見られているか」を抽出していて、
・米中対立の狭間にありながら、何かというと「遺憾」で済ませるあいまいさ
・安倍首相が異例の7年以上の長期政権となる前は、日本の総理の存在感は薄い
・国会での「牛歩戦術」の映像を見て、「国会議員は頭の方も牛並み」と思う
・かつては「エコノミックアニマル」と呼ばれたが、今は日本人は貧しいとの印象
・日本人は知らなくても、日本食や一部スポーツ選手はグローバルに有名
・とにかく長時間働き、夜遅くなっても帰宅しない「ワーカホリック」
・「日本人はずるい」と思われているが、外国人が来日すると「礼儀正しい」と変わる
・食事の時も含めて無口で、何を考えているかがわかりにくい
最後のものは、総じて日本人の英語能力の不足が原因と思われる。日本の首相が国際会議で英語でスピーチしたところ、「日本語って英語に似ているね」と評されたというジョークもあった。
高品質・勤勉の一方で楽しみを知らない野暮天という評価は、今でも変わっていないようです。ちょっと残念。