世界最強米軍は、数々の特殊部隊を持っている。今は正式に一軍になっている海兵隊だって、もともとは水陸両用の特殊部隊とも言えた。現状の特殊部隊の中でも一番厳しい訓練をし、高い資質・能力を求めるのが、海軍特殊部隊「NAVY SEALs」という。2012年に、彼らを主人公にした映画が封切られた。本書はそのノベライゼーションに相当するものだ。驚いたのは、現役SEALs隊員が主演した映画だったという事。有名俳優が出ていないにもかかわらず、異例のロングラン・ヒットとなったことが二つ目の驚きである。
主人公アングル大尉は、15名の部下を率いる小隊長。副官のノーラン曹長に補佐されて、部下たちを厳しく鍛えている。彼らに出撃命令が下った先はコスタリカ、現地の国境なき医師団に所属する女性医師がゲリラに誘拐されたのだ。麻薬が主要輸出品であるこの国、ロシアマフィアのひとりクリストの組織が深く根を張っている。クリストは狂信的イスラムテロリスト、シャバールの資金源にもなっている。
実は誘拐されたモラレス医師は、CIAのエージェントでもあった。その正体を掴んだクリスト一味が、米国の手がどこまで伸びているかを聞き出すために誘拐したらしい。ただ邪魔になっただけならこっそり消せばいい。動機は情報を聞きたいことだとアングル大尉らは考え、救助作戦を展開する。
苛烈な拷問を受けたモラレス医師を大尉たちのチームは間一髪救出したが、そのとき回収したゲリラのデバイスから、クリストやシャバールの大規模なテロ計画が判明する。アングル大尉は妊娠したばかりの妻を残し、世界を股にかける対テロ作戦に就く。映画は見ていないのだが、出演者以外にも登場する武器も本物だ。
・個人火器の基本は、軽量小型のM-4
・狙撃銃も、M-4の長銃身型Mk12
SEALsを搭乗させるのも、MV-22オスプレイやSOC-R戦闘艇からトライデント級潜水艦ミシガン、ワスプ級揚陸強襲艦ボンノム・リチャードなど「総出演」という印象だ。単に戦闘力だけではなく、状況分析から作戦の立て方など、真に迫っている。対するシャバールも凶悪なキャラで、16人の狂信者を南フィリピンからメキシコ経由で米国に入れ、1km以内を吹き飛ばす爆弾を抱かせて繁華街に送り出そうとする。
いや、なかなかの迫力ある戦闘小説でした。映画も探してみたいですね。