新城彰の本棚

ミステリー好きの自分勝手なコメント

中国・韓国に毅然と対する

 2020年春に出版された本書は、ジャーナリスト櫻井よしこ氏が自らキャスターとして放映した番組内容を書籍化したもの。放映時期は2019年度下期で、6章(つまり6回放送分)が収められている。放映された番組はYouTubeチャンネルで、「櫻LIVE 君の一歩が明日を変える!」と題されている。言論TV(http://www.genron.tv)で見ることもできるようだ。

 

 櫻井氏はベトナム生まれのジャーナリスト、月刊<HANADA><Wedge><正論>などに登場する論客で、今月亡くなった安倍元総理との対談が数多い。本書のあとがきでも、加計学園の件について、

 

文科省が長年歪めていた行政を、総理が糺して獣医学部新設を進めた」

 

 と礼賛している。さらにこの件については、多くの既存メディアが「総理が行政を歪めた」とする前川元文科事務次官の発言ばかりとりあげるとご不満である。

 

        

 

 題名に「親中派の嘘」とあるが、6章のうち半分が中国問題、半分が韓国(&半島)問題で、いずれにせよ日本国内の(親中派)論客の名前や発言は出てこない。各章で櫻井氏がモデレータ役となって意見を引き出すパネリストは、

 

・中部大学、細川昌彦特任教授(経産省OB)

産経新聞矢板明夫台北支局長

モラロジー研究所西岡力歴史研究室長

・作家、ジャーナリスト、門田隆将氏

自民党小野寺五典衆議院議員(元防衛大臣

・統一日報、洪ヒョン論説主幹(韓国軍OB)

 

 である。最後の回が「COVID-19」感染拡大が起き始めたころで、中国政府は感染者、死者の数を1~2ケタ小さく報道していると言っている。新疆ウイグルや香港問題で習大人の足元は相当危ないともあるが、現時点でも中国の危機は表面だっていない。韓国についても、文政権の「大企業を潰して分配する」新しい資本主義目標は、仰る通り。中国・韓国には毅然と対応せよとのご意見もその通りである。

 

 冒頭、憲法前文「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持」や9条2項「陸海空軍の戦力はこれを保持しない。国の交戦権はこれを認めない」を、(親中派の)嘘と断じているような書である。うなずける部分は多いのですが、ちょっといい方には気を付けた方が宜しいのではと言いたくなります。