新城彰の本棚

ミステリー好きの自分勝手なコメント

大前流、人生100年時代の計

 本書は、経営コンサルタント大前研一氏が「COVID-19」禍が始まった2020年の夏に、「個人が企業を強くする」という単行本の内容を加筆・訂正し、新書化して再出版したもの。もうじき80歳になろうという著者だが、舌鋒はますます鋭い。

 

 テレワークに関して「そんなものは昔からやっている」と、いまさら何を騒ぐかと一蹴。安倍総理を「ダメ経営者の典型」と決めつけ、その働き方改革を、

 

同一労働同一賃金

 「同一」の雇用が海外に流出するだけ、賃下げ圧力になる。正解は、同一成果同一賃金。

◆生産性革命

 確かに日本企業の生産性は低い、しかし人づくりを怠っているからで、このままではホワイトカラー大量失業につながる。

◆正規社員化の推進

 解雇規制が強すぎるのが問題、ただ正規社員を増やすだけでは、雇用の膠着化を招き人手不足も解消しない。

◆残業上限60時間

 Bullshit-Jobが多いのが問題、ただ時間規制をするだけでは、賃下げになるだけだ。

外国人労働者制限

 日本人のスキル不足が問題、制限しても人手不足は解消されず、賃上げにもつながらない。

◆教育無償化・給付型奨学金推進

 日本の大学が「稼げる人」を育てていないのが問題、カネを配っただけでは生産性の低い人を量産するだけ。

 

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 と一刀両断である。一番糾弾されているのは文科省。21世紀の世界で通用できる人材を育てられるように日本の大学を改革するのと、それを文科省に期待するのは、猫に「ワン」と鳴けというに等しいとある。

 

 企業の方もかつての「大志に満ちた」経営者は少なくなり、漫然と事業を続けている。もはや日本に「エクセレント・カンパニー」は出現しない。では個人はどうすればいいか?「エクセレント・パーソン」になれと筆者はいう。そうなるには3つの条件が必要で、

 

・語学力、英語もしくは中国語がネイティブと話せるくらい

・統率力、新しい方向を示しそこにチームの力を向けられること

・構想力、答え(先例)のない時代がどううなるのか、見極める力

 

 を備えるべしとある。うーん、最初のはちょっと僕には難しいな。ただこういうスキルを身に着ける努力をし、自ら「働き方改革」をすれば政府や企業に頼らなくても「人生100年」を有意義に過ごせると筆者はいう。

 

 「もう○○歳だから」とメンタルブロックに入らず、もっと学びもっと働けというメッセージでした。及ばずながら努力しようと思います。