新城彰の本棚

ミステリー好きの自分勝手なコメント

5Gでなくてはならないアプリ

 昨日紹介した「ファーウェイと米中5G戦争」が、5Gのアプリケーションについては漠としたスマートシティしか取り上げていなかった、改めて本書を手に取った。同じく2019年発表で、著者は野村総研NRI)のコンサルタント亀井卓也氏。

 

 別ブログでは何度か申しあげているように、技術的に優れている5Gも、4Gではできないキラーアプリが見つからないと普及しない。

 

5Gのアプリ開拓、中韓のケース - Cyber NINJA、只今参上 (hatenablog.com)

 

 具体的にこういうことがしたいから、4Gでは出来ないから5Gインフラがいるのだと言ってもらわないと、インフラ事業者や研究開発事業者は投資が出来ない。本書は、僕と同じ問題意識をもって、ある程度具体的なアプリ案を示してくれた。

 

        

 

 まず取り上げているのがビジュアル体験。例えばスポーツコンテンツを多くのアングルや視点で撮ってリアル配信するようなケースだ。類似のアプリにVRやARがある。リアル感一杯のゲームも楽しめるだろう。ただこれはエンタメ需要、もっとビジネス色が強い物としては、スマートメーターに代表されるIoT通信が挙げられている。これは4Gで出来ないわけではないが、5Gだと通信コストが大きく下がるという。そうなら、スマートxxは、キラーアプリになり得る。

 

 さらにコネクテッドカーの自動運転。道路を広くカバーする5Gの設備投資が必要だが、これもキラーアプリになる。あとの例はローカル5Gのものが多かったが、これまで読んだ書籍のうちでは、最も僕の考えに近いものだった。

 

 筆者は4G通信事業まではBtoC事業だったが、5GからはBtoBtoX事業になるという。真ん中のBは「センターB事業者」で、通信基盤の上にデータ流通で儲かるビジネスモデルを作れるものだという。本書の分析は正確で、動向予測はうなずけます。さて、誰が最大のセンターB事業者になりますかね。