新城彰の本棚

ミステリー好きの自分勝手なコメント

戦勝国英国の「変な兵器」

 三野正洋という人の著書は多いが、中でも面白いのがこの「小失敗」シリーズ、日本は10倍以上の国力の米国に喧嘩を売るという大失敗以外にも失敗をしていう「日本軍の小失敗の研究」を2冊出版していて、それらは以前紹介した。

 

 本書はその考えを連合国側にあてはめたもので、英米仏三国にソ連を加えて各々の課題を明らかにしている。特に英米ソについては戦勝国になった故に見落とされがちな、貴重な分析といえる。以前ヒトラーチャーチルスターリン・ローズベルトの戦争戦略について評価した書を紹介したが、そこで一番戦略的自由度があった英国が、今回の戦術的評価では酷評されていることが面白い。

 

https://nicky-akira.hateblo.jp/entry/2019/10/14/000000

 

 とにかく第二次世界大戦の英国の兵器には、わけのわからないものが多い、これは陸戦戦術級ゲーム「Advanced Squad Leader」をやってみると痛感する。重量級の戦車がなぜか40mm砲を主砲にしていたり、徹甲弾しか撃てず歩兵相手には役に立たない戦車もいる。英国プレーヤーになった時には、正直「遮蔽物」以上の価値を感じられなかった。本書に取り上げられた「カベナンター」は、エンジントラブルが治まらず1,000両以上生産されながら戦場に現れていない。ASLにはそのコマもなく、僕が知らなかった戦車である。

 

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 航空機でも、単発複座(発動機がひとつで複数人が搭乗する)戦闘機を就役させたのは英国空軍だけだ。戦闘機は機動性がなにより必要なので、できれば搭乗員は一人がいい。双発機で馬力もある大型機なら複数搭乗員もありうるが、これはレーダー搭載の夜間戦闘機など特殊用途だろう。

 

 ただでさえ空戦応力が下がる単発複座戦闘機なのに、「ブラックバーン・ロック」などは前方に向いた機銃がない。後部砲塔に4基の機銃があってこれで後方や側方は撃てるのだが、目の前の敵機には手が出せない不思議な戦闘機である。さらに帆布張り複葉で速度が著しく遅い雷撃機ソードフィッシュ」については、以前も紹介したので割愛する。

 

https://nicky-akira.hateblo.jp/entry/2019/05/16/000000

 

 ジョン・ブルという人種、頭が固いだけならいいのですが、新しい時代への対応力が本当にあるのか心配になってしまう資料でした。