本書は「日本博学倶楽部」の書き下ろし本だという。この団体は何かというと、歴史、暮らしの知恵、文化・情報など幅広い分野での調査・研究をする組織だとある。すでに「日本史未解決事件File」という著書(未入手)はあって、好評だったので世界史版を編纂したという。
中には「未解決事件」というよりは、ちょっとした疑惑レベルのものもあるのだが、40の事件と、10の古代遺跡関連記事が収められている。なぜこの本を手に取ったかと言うと、歴史ミステリーを読む時にその背景となっている事件の概要を確認するため。今ならインターネット検索すれば本書の内容の90%ほどは入手できるかもしれないのだが、2006年の発表当時はコンパクトに1冊にまとまっていることは、とても重要だった。
40の事件の中には、何度も歴史ミステリーや映画で取り上げられた話題も多い。例えば、
・JFK暗殺は、オズワルドの単独犯行ではない。
・ローズベルト大統領は、真珠湾攻撃を知っていた。
・米軍は墜落したUFOを捕獲していた。
・モーツアルトは才能を嫉まれて毒殺された。
・ロシア皇帝一家殺害から第四皇女アナスタシアは逃れた。
といったようなものだ。一方で、日本人の僕にはあまりなじみのない「Cold Case」も、本書に収められている。例えば、
・モナリザは4枚存在していた。
・世紀の虐殺者ポル・ポトは、暗殺されていた。
・マルコ・ポーロ「東方見聞録」は偽作だった。
・テンプル騎士団は莫大な資産を持ったゆえに粛清された。
というような話だ。僕の知識・興味が偏っているからかもしれないが、これらのテーマについては良く知らないことが多い。で、本書がどう役に立つかと言うと、例えば「リチャード三世は悪人ではない」説。僕の本棚には「リチャード三世殺人事件」という未読の書があり、天下の悪人とされる三世がそうではなかったとする歴史推理ものらしい。だから本書を読む前に、
・リチャード三世はどんな悪行をした(と言われる)のか?
・それに対しての反論、反証はどんなものか?
を知っておけば、歴史ミステリーを読みやすくなるわけ。まだBook-off巡りは続けるつもりですから、しばらくは本書も本棚に残しておきますよ。