本書は、自民党総裁選を前にした2021年9月に出版されたもの。事実上、河野太郎候補の政権構想といっていい。DCのジョージタウン大学で学んだことや、父親洋平氏への生体肝移植のことが前半1/3を占めているが、残りは以下の点で政策論を述べている。
・外交安全保障
・防災
・エネルギー
・教育
・デジタル化
突破力を期待されている政治家なのだが、全般的に見てとんがった印象のある政策論ではない。得意なはずのデジタル化にしても「温もりを感じさせる、誰も取り残さないデジタル化」として、深入りを避けている。割いた紙幅も多くない。重要な論点である市民データの共有方式にしても、監視強化の中国方式、GAFA等に丸投げの米国方式は良くないとしているが、欧州方式も手続きが煩雑過ぎるとNG。日本は第四の道を行くという意味だが、内容はあいまいだ。
個人データのガバメントアクセスは、困っている人(貧困だったり難病だったり)を見つけ出し、ピンポイントで手を差し伸べることができるとしている。いわゆるPUSH型行政で、この点を含めて賛同できることは(僕らデジタル政策屋には)多い。問題はそれをどう実現するかなのだが、その点が具体的に書かれていなかった。
外交では米中いずれかの選択ではなく、ASEANと地域連合を形成していくという方針。教育は幼少期からの英語教育を進めるという。原発問題にしても、よくわからない結論。
政治家としての姿勢は、祖父一郎から受け継いだもので、
・衆議院議員バッジに誇りを持つ
・陽の当たらない時でも胸を張って歩く
・仲間を大切にする
ことだといいます。岸田政権の支持率が下がり、政局になるかもしれません。そこで「紙健康保険証の全廃」を打ち出して勝負に出た感じもあります。さてこの強襲、吉と出るか凶と出るか?