新城彰の本棚

ミステリー好きの自分勝手なコメント

政権交代の条件

 2021年発表の本書は、伝説のジャーナリスト田原総一朗氏の永田町考察。タイトルにあるように「自民党政権はいつまで続くのか」と思っている人は少なくない。NHK日曜討論に出ると「・・・だから自公政権は終わるしかない」と叫ぶだけの<れいわ新選組>は論外としても、日本に政権交代の可能性が少ないと嘆いている向きはおられよう。

 

 本書で語られる「日本の戦後政治史」については、「朝までナマTV」をほとんど視聴している僕にとっては、どこかで聞いたようなエピソードばかり。個々には特に目新しいものではない。しかし6つのテーマに沿って整理されていて、テーマ毎の全体像の確認には役立つ。

 

        

 

1)エネルギー 原発の是非が中心の話題。核燃料サイクルは確立されていない問題はあるが、現時点でエネルギー安全保障上は必要との意見も少なくない。

 

2)経済 「Japan as No.1」の時代から、国際競争力がジリ貧。<アベノミクス>の欠陥も見えてきて、どうすればいいのか社会が不安になっている。

 

3)安全保障 これが一番大事。米国が世界の警察官を辞め、日米同盟の価値が変わりつつある。しかも台湾を挟んだ米中対立が激化している。

 

4)選挙制度 衆議院中選挙区はカネがかかりすぎると、小選挙区制度にした。政権交代も期待されたが、政治家が小粒になったとの批判もある。

 

5)ジェンダーギャップ 「女性活躍」を掲げても、国際的に発展途上国の中においても低位なレベルにある。

 

6)政権交代 細川連立政権や民主党政権などもあったが、日本に二大政党制は定着しなかった。この10余年、自公連立政権が続いている。

 

 なぜ自民党が・・・という問いに筆者は、日米同盟を基軸とした安全保障体制と戦後の高度成長を含む良好な経済があったという。しかしその2つが今揺らいでいるので、政権交代機会はあるとのことだ。僕は先日紹介した千代田区保坂区長の「政権交代ではなく、政権運営の質の転換を目指す」のが、本筋と思いますが。