新城彰の本棚

ミステリー好きの自分勝手なコメント

治安機関のDXレポート

 今年から警察庁の会合のメンバーに加えてもらったことから、本書を送ってもらった。カラー刷り230ページの「重い」本である。定価は1,600円+税。今年は警察庁の中に<サイバー警察局>が新設された。内部部局としては、長官官房・生活安全局・刑事局・交通局・警備局に次ぐもの。課はまだ3つしかないが、局が出来た意味は大きい。

 

 特集も「技術革新による社会の変容と警察の新たな展開」で、サイバー攻撃・先端技術を利用したテロ・技術情報の漏洩など新しいリスクのほか、警察自身のDX・AIなど活用した捜査手法・外国の法執行機関との連携など自身も「Global & Digital」対応しようとしていることが窺える。今後の展望として、デジタル社会を守るため、対サイバー体制・適応力・部門間連携・国際連携・官民連携が重要だとある。

 

        

 

 サイバーリスクに関しては、本編中特に1章が設けられていた。インターネットバンキングによる不正送金・不正アクセスランサムウェア(特に医療機関の防止策)・インターネット上の違法/有害情報・(APT××などに対する)アトリビューションなど、リスクと実例、対策状況がまとめられている。

 

 技術力強化のひとつとして、大規模産業型制御システム模擬装置を作り、ペネトレーションテストをする例もあった。この辺りは、警察庁なのか経産省なのか総務省なのか、担当が定まらない可能性もある。

 

 専門外だが興味深かったのは、公安の維持と災害対策の章。国際テロ情勢に始り、G7等での連携などの実績の他、特定団体の状況レポートがある。旧オウム真理教などとならんで、まるまる1ページ割いているのが共産党。党員は30万人を割り、機関紙購読者も100万人に届かない。衰勢ではあるが、全労連との連携や民青同の募集も続いていると、淡々と報告している。

 

 この公安の章、令和5年号には旧統一教会も入りますかね?え、それは違うって?