新城彰の本棚

ミステリー好きの自分勝手なコメント

お金の、お金による、お金のための

 昨日「アメリカ大統領選、勝負の分かれ目」で、米国有権者の動向を紹介した。本書は直近(2022年)に発表された、政策や選挙にまつわるお金の話である。著者の渡瀬裕哉氏は、機関投資家ヘッジファンドなどの動向を研究するエコノミスト。本書を「米国を理解するための実学書」と位置付けている。

 

 僕はかねて「米国は国ではない。世界中から我こそはと思う、ヒト・モノ・カネが集まるリングのようなものだ」と思っている。昨日はヒトの話を紹介したのだが、やはり米国のカネについて触れなくてはならないと思う。それは米国を別の視点で見ると「お金のお金によるお金のための政治をするところ」だから。

 

 日本の国家予算に匹敵する100兆円あまりを国防費につぎ込むのも、要はお金の利権を守るため。利権は世界中にあるから、米軍は世界中に諜報網を敷き、空母機動部隊を7つの海に展開する。

 

        

 

 時の政府(ホワイトハウス)の考え方は、国家予算の軸足がどこにあるかで計れる。

 

■トランプ政権

 国家予算削減、規制削減が目玉政策だから、目に仇にされたのは環境保護局、次に国務省で3割ほど減らしている。増やしたのは国防関係だけ。

 

◇バイデン政権

 弱者救済を掲げているから教育省が4割増し、商務省も3割増し。国防系は横ばいだったが、減らしたところはほぼゼロ。

 

 共和党民主党の基本政策も、政治(選挙?)献金の動向で知ることができる。米国選挙は、世界一の規模のマネーゲームだという。2020年の大統領選挙は特にひどく、2016年のそれが3億ドル程度だったのに、7億ドル近くまで増えた。オンラインの小口献金数が激増したことが一因。総じて民主党の方が多くの資金を集める。その分だけ、政権を取ったらバラ撒くということかもしれない。

 

 昨日紹介したように、ヒスパニック人口増は民主党にプラスだが、労働組合の構成員減がマイナス材料だとあります。「要はカネメでしょ」という米国政界、さてどうなるのでしょうか?