本書は出版早々(2024年4月)のものを送っていただいた。出版元は<宣伝会議>だが、電通グループの専門PR会社<電通PRコンサルティング社>の手になるもの。副題に「新しい企業価値を創出する」とあるが、昨日紹介したようにプロパガンダが溢れる現代社会では、広報の巧拙は企業の命運を決定的に分ける。その意味で、PR4.0が求められるということだ。まず、結論からいうとPR4.0の意味は、
・分散した消費者に訴えるには、マスメディアではなくマステーマ
・商品やサービスの前に企業のスタンス(ブランド・アクティビズム)
・パーパスや企業理念は重要だが、意見表明にとどまらず寄り添う立ち位置
・メッセージはすでに受け手の側に、レピュテーション・マネジメントが重要
・社会課題に対する自社のコレクティブ・インパクトを説明
・身の丈の社会貢献を越えて、ソーシャルコミットメントを示す
とある。
デジタル用語ではないカタカナが多く分かりづらいかもしれないが、社会とともにありかつ社会のためにある自社を、どう社会の(わかってほしい人たちに)分かってもらうかということだ。
ここでいう分かってほしい人には、従業員は最初に入ってくる。企業理念や社会的意義を知悉すれば、自然に業務能力が向上し、社内の課題(不正等)にも初期の段階で対応できる。もちろん消費者やその他のステークホルダーにも、正しい企業のスタンスを分かってもらえば有形無形の効果がある。
同社が考えることだけではなく、5つのインタビュー記事が載っている。
・分かりやすく、若い世代向けにも防衛を語る防衛省
・企業理念への共感を求めるヤッホーブリューイング
・プラ技術で世界を「素」から変える三井化学
・地域に寄り添う経営をアピールする東北電力
に加えて、DX with Securityを掲げるシンクタンク代表としての僕の記事も載せてもらいました。ちょっと気恥ずかしいですが「これからの時代の広報」を示す書だと思います。