新城彰の本棚

ミステリー好きの自分勝手なコメント

「暮らす」ボルドーの12ヵ月

 家内の好きだったBBCのドラマに「プロヴァンスの12ヵ月」(ピーター・メイル)がある。1999年発表の本書は、そのドラマにも刺激を受けてフリーライターの大谷浩己氏が、ボルドーで過ごした1年間の記録である。著者はボルドーのアパルトマンで暮らし、プロヴァンスやパリはもちろんカタルーニャバスク地方などにも足を伸ばして地元の食事とワインを味わった。

 

 夏の間に準備をして、9月から半年は大学のワイン講座でも学んだ。これは社会人向けだが、4年制大学にも醸造学部がある。大学にそんなカリキュラムなどがあるのは、さすがワインの国である。本書の12章は、各月のワイン作りに関するイベントや、その時期に出かけた地方での体験で成り立っている。

 

 最初はパリでの滞在を考えたとあるが、やはり産地を直接見たいという思いで、バリエーションの多いボルドー地区を選んでいる。ただ生産量が多いだけではなく、

 

        

 

・ジロンヌ川

・ドルドーニュ川

ガロンヌ川

 

 の両岸に気候や地質の違ったエリアが点在し、異なるブドウ品種が育てられているし、伝統的な製法も異なる。ただボルドー(人口約70万人)は規模の割には田舎町なので、呑めるのは現地のワインだけ。他の地方のものを呑もうとすると、出かけて行かなくてはいけない。

 

 予約が必要だが、ワイナリーの見学も可能。多い日は3軒/日も廻れる。昔ながらの木樽、コンクリと樹脂の樽、ステンレス樽のどれを選ぶかはワイナリーの考え方次第。ブドウの潰し方一つ取っても、違いがある。水着を着た人がブドウ浴槽に入って踏むのが、一番なめらかになるとある。衛生的には???だが。

 

 ワインだけでなく、それに合わせる料理も多く紹介されている。日本では銀座の○○で食べられるともあるが、なかなか庶民にはハードルが高そうだ。本書は他のワイン本と一緒に並べておいて、いいワインが手に入った時の参考書としましょう。