国連でLAWS(Lethal Autonomous Weapon System)禁止の規制検討が進んでいるが、本書は2019年の時点でこのような兵器の区分などを明示したもの。著者の栗原聡氏は慶應大学理工学部教授、AI・ネットワーク研究者である。本書の前半は、
・人工知能の歴史
・知脳とは何か
・意識とは何か
・人のような知能を持つ機械をどう作るか
といったおさらいだが、ハイライトはキラーロボットの区分と現状解説。
A型:半自動型兵器、移動や狙いは自動化しても引き金だけは人間に引かせる
B型:自動型兵器、引き金も自分で引く
B1型:単機能(ロボットアーム等)AIを搭載した自動型兵器
B2型:初期の汎用型(生成AIレベル?)AIを搭載
C型:集団自動型兵器、B型が複数連携(ネットワーク)して行動するもの
D型:自律型兵器、自らの意志に基づき行動するもの
E型:集団自律型兵器、D型が複数連携して行動するもの
筆者はA型以外は実用化してはいけないと考えているが、この時点でも、
・イスラエルのIAI社が開発した「ハーピー」はB1型のドローン
・ロシアのカラシニコフ社が開発中の小型戦車「サラートニク」はB2型を目指す
ようになっている。このほか米中韓仏が何らかのLAWSを開発しているし、他の国がやっていてもおかしくない。開発のハードルは高くないし、兵器でなければD型やE型の機器は経済発展や社会問題解決に寄与するから(禁止できないの)だ。
現実解としてLAWS禁止はできないとしながらも、筆者は一縷の希望を国際社会(特に国連)にかけているようだ。ただ国連が開発に関する基本指針を検討したところで、
・各国の立場(格差)がまちまちで、指針そのものがまとまらない
・仮に採択されたところで、指針には法的拘束力がない
・たとえば「人道」という言葉ひとつとっても、解釈がさまざま
だとある。本書には「AIの定義」はないけれど、AIじゃなくても自動型兵器はありましたよね。地雷などは数千年の歴史もあり、これを連動させたC型(?)地雷も実用化済みです。正直、LAWS規制が出来るようには思えませんが・・・。