昨日紹介した「エラリー・クイーンの事件簿1」に続き、本書は「事件簿2」である。もうひとつの映画脚本と、2編のラジオ脚本が収録されている。
◇完全犯罪
エラリーは友人ウォルター・マシューズから婚約者メーリアンの父レイモンド・ガーテンの苦境を救う芝居に協力してくれと依頼される。両家は隣り合わせで、ガーテン家に来たエラリーは、マシューズ家でウォルターの叔父ジョンが殺された事件に遭遇する。しかも第一発見者のウォルターはその場から失踪してしまう。ニッキーは、マシューズ家のペットであるチンパンジーが犯人だというのだが・・・。

◆<生き残りクラブ>の冒険
エラリーとニッキーは、郵便ポストかなにかを探し回っている男がひき逃げされるのを目撃した。彼は死に際に「66番クラブのメンバーが殺される」と言い残した。クラブに着いた2人はメンバーに警告するのだが・・・。
◆殺された百万長者の冒険
大富豪のジョーダンは誇大妄想狂の車椅子生活者、医師らに見張られていると高名な探偵に次々暗号文の依頼書を送っていた。エラリーもその餌食になりニッキーをにわか看護師に仕立てて会いに行くと、実際に彼は殺されてしまった。
いずれも懐かしいクイーン警視、ヴェリー部長刑事、プラウティ医師らが登場する。本来はボスのはずなのに、エラリーはニッキーの横車や思い切った提案に翻弄され続ける。曰く「ニッキーの話は、承諾するより拒否する方が途方もない手間がかかる」からだ。
「生者と死者と」でデビューしたニッキーは赤毛だったが、映画・ラジオ脚本などではブロンドやトビ色に髪の毛が変わります。それでも愛くるしいキャラはそのままですし、ファンとしては「エラリーとニッキーのコンビよ永遠なれ!」ですね。