新城彰の本棚

ミステリー好きの自分勝手なコメント

ノタ(札付き)の子孫たちの町

 1998年発表の本書は、スー・グラフトンの<キンジー・ミルホーンもの>の第14作。前作で怪我を負ったディーツを看病していたキンジーは、サンタ・テレサに帰る途中で、ディーツから紹介された仕事をすることにした。塩湖沿いの町ノタ・レークは、人口2,300人ほど。ここも、住民のほとんどが顔見知りの町だ。

 

 この町の老刑事トムは、自分のトラックの運転席で心臓麻痺を起こして死んだ。かつて私立探偵ディーツに依頼をしたこともある未亡人は、夫が死の前に気を病んでいたことから、それがなんだったのか知りたいという。まだ満足に歩けないディーツに代わって、キンジーはその雲をつかむような依頼を引き受ける。

 

 苦しんでいるところを同僚の警官に助けられたが、病院へ運ぶ途中に脈が停まった。検視官も解剖をして自然死と確認している。不審なところはない死に見えたが、キンジーの捜査を妨害し、尾行してくる輩がいる。

 

        

 

 町の名は、かつてここが犯罪者が焼き印(ノタ)を押されて送り込まれたことに由来する。何世代か経ってはいるが、札付き者の子孫たちがあまり外部と交流せずに暮らしている町なのだ。

 

 キンジーはトムが克明な捜査手帳を付けていたことを知り、最新のものを捜すのだがここ半年分が見つからない。そんな時、モーテルに滞在していたキンジーは侵入者に襲われて右手を負傷してしまう。さらに、キンジーについての根も葉もない噂が流れ、町の人達が全く協力してくれなくなってしまった。キンジーは(車で3時間ほどの)サンタ・テレサにトムが行っていたことを知り、地元に戻って手掛かりを探す。

 

 「逃亡者のF(*1)」に出てくるフローラル・ビーチとはまた違った田舎町。風光明媚で、閉鎖的なことは同様である。誰を信用していいか分からない状況での、リアルな女探偵の捜査物語、ますます好調ですね。

 

*1:1,000人の町の17年前の事件 - 新城彰の本棚 (hateblo.jp)