新城彰の本棚

ミステリー好きの自分勝手なコメント

防空巡洋艦「青葉」級

 このシリーズ6冊は「大鑑巨砲作家」横山信義の太平洋戦記。昨年紹介した「蒼洋の城塞」同様、少しずつBook-offの100円コーナで6冊を揃えた。このシリーズのアイデアは2つ。まず主人公たる戦闘艦が存在する。「巡洋戦艦浅間シリーズ」同様の設定で、今回は巡洋艦青葉級と古鷹級計4隻が、防空巡洋艦に改装されて開戦を迎える。もうひとつは、真珠湾攻撃を探知した米軍が主力をフィリピンに送り、真珠湾攻撃が行われなかったこと。南シナ海で、最初の戦闘が始まる。

 

 防空巡洋艦は、例えば米軍のアトランタ級があり、日本軍機を多数葬った。重巡洋艦としては古めで小さい上記の4隻は艦隊決戦に加えるよりは、航空主兵の時代に対応させるべしとの改装だった。

 

        

 

 長10cm連装高角砲を艦体前後に合計6基、合計12門の高角砲が主兵装だが、他の対空火器も満載している。英米軍主力は、海南島の日本軍に襲い掛かり、駆け付けた機動部隊にも攻撃を加える。その緒戦で防空巡洋艦4隻は、

 

・旧式軽巡駆逐艦を撃破

・急降下爆撃機雷撃機を撃退

 

 する活躍を見せる。その勢いで3巻目までは進むのだが、やはり1944年になると米国の大反撃がやってきて止めようがない。正直ここからが作者の腕の見せ所で、史実を踏まえた上で「より良い負け方」を探りつつ、読者の興味を絶やさないようにしなくてはいけない。

 

 本シリーズでは、特に連合国内での政治の乱れが強調されている。1943年までさんざん日本海軍にしてやられたルーズベルト大統領が、太平洋戦線に入れ込むあまり、チャーチル首相らとの関係が険悪になるのだ。さらにノルマンディ上陸作戦も大失敗に終わり、ドイツは劣勢だがソ連が勝ちすぎてしまうのも困ると連合国首脳は悩む。

 

 もうひとつ面白い試みは、英国東洋艦隊の旧式巡洋戦艦レパルスが鹵獲され、防空戦艦「大雪」に改装されること。巻末の本土空襲に、意外な活躍を見せる。

 

 まあ、よくこのシリーズ続きますね、作者も作者なら読者も読者ということで・・・。