2022年発表の本書は、放射線医学が専門で医療経営にも詳しい奥真也医師の「日本の医療制度診断診断」。題名に「医療貧国」とあるが、本書のデータを見る限りちょっと誇大広告。例えばOECD各国(カッコ内が平均)との比較で、
・MRIは人口100万人あたり55台(17台)
・ジェネリック薬品の量的割合は47%(55%)
・入院日数は平均16日(7.6日)
・病床数は人口1,000人あたり12.4(4.4)
・年間受信回数は12.5回(6.8回)
・薬剤師数は人口10万人あたり190人(86人)
とあって、設備や要員は充実しているが、それを患者が不効率な受診をして食いつぶしている。医療崩壊に至ってはいない。ただ設備投資を回収したいため、不要な検査・医療・投薬をする傾向が医師側になり、患者側も最大3割負担ゆえ容認する傾向にある。

患者のリテラシーが低く、医師に丸投げだったり、気に入らないとモンスターペイシェントになってしまう。病気の9割は治らないので、アドバイザーたる医師の協力のもと、自らの体を守るリテラシーを磨くべきとある。
医師側にも問題があって、専門職としての医療は得意でも経営は苦手な人が少なくない。また、医師にはコミュニケーション能力が不可欠だが、理系の科目の成績がいいだけの理由で医学部に入ってくる学生が多く、適性がないことも少なくない。
また医療とは別の事務処理も多く、医師の長時間労働が定常化している。2024年からの「働き方改革」で種々の変化(廃業なども含めて)がありそうだ。
問題は国民皆保険、健康保険制度で、このまま放置すれば2040年には破綻するとある。すでに介護事業者の倒産なども相次いでいるし、ますます増える高齢者・患者に医療・介護体制が(カネもヒトも)ついていけなくなるという。副題にあるように「手厚すぎ、安すぎ」が主原因。
結局は患者も含めたリテラシーの向上で、医療・介護全体の効率化を図ることなのですが、崩壊させないでおけますかね。僕は、2040年には80歳代半ばですよ~。