新城彰の本棚

ミステリー好きの自分勝手なコメント

戸口で待ち受ける死

 1961年発表の本書は、以前「愚か者の祈り」を紹介した警察小説の雄ヒラリー・ウォーの「フェローズ署長シリーズ」の1作。ハードボイルド作家を目指した作者は、最初私立探偵ものを3作出したものの売れず、クロフツ流の「足を使う警官」を主人公にし社会問題もからめた「失踪当時の服装は」でブレイクした。

 

 その後よりリアルな警察小説のシリーズとして書き始めたのが、コネチカット州の田舎町ストックフォード署のフェローズ署長を主人公にしたものだった。「愚か者・・・」の紹介文でも述べたように、郊外のニュー(ベッド)タウンを舞台にしている。従来重大犯罪は滅多になく、警察も小規模だし住民も犯罪に慣れていない。

 

        

 

 雨の夜、農場経営をしている大男ヴィクター・ロベンズが訪れた小男に射殺された。戸口を叩き応対にでたヴィクターに「お前がロベンズか?」と確認した上で「肥料代50ドルの貸しがある」と言って拳銃で撃った。目撃した妻マータは、黒いコート、帽子、黒縁のめがね、カイゼルひげ、白髪混じりの男だったという。

 

 同じ男は、付近の家でも目撃されている。ロベンズの家を探して(ご丁寧に)2度「肥料代50ドル」の話をしていた。指揮を執るフェローズ署長は、男の外観は変装の可能性があるとして、被害者の周りにいる誰かが犯人だと睨む。警官たちは30名近い男女をリストアップし、その人間関係や事情を探り始める。特に重視したのがアリバイで、犯行時刻がはっきりしているだけに、容疑者は徐々に絞られていく。

 

 動機は判然としないが、マータが若い美女でショートパンツを穿くなど刺激的な雰囲気を持つことから、男女関係が疑われた。マータは都会から来たせいか、地元の婦人連には評判が悪い。やがて署長は2人の容疑者を逮捕するのだが・・・。

 

 地道な捜査を続ける署長たちと狡知に長けた犯人の対決、面白かったです。「87分署シリーズ」とは違った魅力の、田舎町警察小説でした。