新城彰の本棚

ミステリー好きの自分勝手なコメント

4冊目になりました

 2022年発表の本書は、昨年「日本人は何も知らない」を3冊紹介した「めいろまさん」こと谷本真由美氏のシリーズVol.4。前作と何が違うかというと、ロシアのウクライナ侵攻があって国際情勢がより緊迫したこと。本書でも欧州事情を中心に、普通の日本人の国際感覚と現実のずれを紹介してくれる。

 

・イタリアで極右政党が政権を取ったのは、移民問題と家族主義が強いから

 → 南からの移民の通り道にあたることと、家族が一番の思想が今でも強い

・安部元総理への信頼は、国内より国際社会の方がずっと高い

 → エリザベス女王は王族扱いの弔辞を送ったし、プーチンら世界の首脳も悼んだ

・動物愛護を訴える国は、むしろ動物虐待がひどすぎるから

SDGsも、信じているのは日本だけ、国連の言うことに重きは置かない

外国人参政権は、国政ではほぼNG。地方選挙でも認めている国はまれ

 

        

 

 時節柄、ロシア関連の話題が多い。

 

・巨費を投じて戦力整備したはずのロシア軍が弱かったのは腐敗のせい

 → 相当のお金が高官らの懐に流れ、彼らはキプロスに別荘を買うなど放蕩した

・ロシアは教育レベルは高いが、人材レベルは低い

 → 高等教育を受けた人材は、硬直し発展できない組織体質を見て海外に出てしまう

・ロシアの裏経済は、全体経済の20%ほども占める

・ロシアでは、現金取引が8割、キャッシュカードを持たない人も3割いる

 

 筆者の夫君が英国人なので、英国の話題も。

 

エリザベス女王は特別な存在、崩御のニュースに英国民の半数は涙した

・一方王室全体で見れば、特にカリスマ性はなく有名な「YouTuber」のようなもの

 

 筆者の本業は、内部統制・ITガバナンス・プロセス統制と僕のそれに近いもの(*1)です。その観点から、日本企業の一部がIT部門の人材に高額報酬を払い、人員も強化する動きを歓迎していました。これまでITシステムの特性に合わせた業務改革をせず、旧来業務にITを使うようにした大問題に気付いたらしいともあります。全く同感ですが、間に合いますかね?

 

*1:「COVID-19」は何を変えたか - 新城彰の本棚 (hateblo.jp)