新城彰の本棚

ミステリー好きの自分勝手なコメント

日本の政治をゆがめた4要因

 2018年発表の本書は、リベラル派の論客である山口二郎法政大学教授の、日本の民主主義への警鐘。筆者は旧民主党のブレーンであり、野党共闘の推進者市民連合の中心人物でもある。現政権を歪んだものし、その問題点や政権を維持させているのは何かを論じている。筆者によれば、民主主義の脅威は4種ある。

 

1)三権の中の行政府、中でも首相官邸への過度な権力集中

 決められない政治への批判から、政治主導・官邸主導が必要とされた。それが過度に働いた結果、政治的決定の過剰・立法事実(*1)を無視した法整備・人気取りのための政治多動が起きている。政治家の劣化も激しい。筆者はその例として安倍元総理を挙げ、トランプ以前にポピュリズムナショナリズム手法を採った政治指導者だとしている。

 

        

 

2)野党の危機と政党間競争の消滅

 「55年体制」から脱却して、英国のような二大政党制を模索しているのだが、左寄り中道から強硬な保守まで包摂している自民党に抗する塊に成れていない。旧民主党野田総理が消費税上げを主張した時、小沢派が離党したのがその典型例。れいわ新選組なども独自路線を崩さない。

 

3)新自由主義による公共世界の解体

 小泉内閣郵政民営化に代表される新自由主義の風潮は、鉄道・自治体・大学のような公共インフラに利益優先の考え方を持ち込み、生活に苦しむ人を増やした。小さな政府というが、実態は無責任な政府である。アベノミクスの成長戦略とは「利権=裁量+規制緩和」であり政府中枢に近い者だけが利益を得た。

 

4)個人の尊厳の否定と自由の危機

 ヘイトスピーチの過激化、総務省のメディアへの圧力、画一的な初等中等許育の推進、政敵への「反日」とのレッテル貼りなどが横行し、個人の(表現の)自由が侵されるようになっている。

 

 これらの状況を打破するため、筆者は5つの提案を行っている。

 

・野党の立て直し

・国会の再建

・官僚制の改革

・民主主義のためのメディア

・市民の問題意識

 

 いわゆる「希望の党事件」の内実は面白かったですが、安倍元総理をトランプ他の暴走政治家の範としたのは行き過ぎだと思います。お前はコトを知らなさすぎると、叱られるかもしれませんが。

 

*1:新法等に拠らなければ解決できない政治課題