新城彰の本棚

ミステリー好きの自分勝手なコメント

パリ三聖人シリーズ第二作

 1996年発表の本書は、以前「死者を起こせ」を紹介した、フレッド・ヴァルガスの<三聖人シリーズ>第二作。聖マルコ・聖マタイ・聖ルカとあだ名される36歳の貧困学者たちが、いやいや探偵をする物語。

 

 ルイ・ケルヴェレールは内務省調査員だったが、いくつもの変名を使いいつもヒキガエルをポケットに入れている変わり者のせいか、職場を追われた。この日も、パリ5区のカフェで70歳越えの売春婦マルトとくだらない話をしながら吞んでいた。翌朝カフェから見えるベンチに座っていて、脇の街路樹の根元に犬の糞を見つけた。昨夜の雨に流されて、糞から骨らしいものが覗いている。

 

 ルイはこれを5区警察署に持ち込み(偉そうな態度で)調べさせると、老女の足指の骨だったことがわかる。しかし、警察は付近で行方不明者はないとして、動こうとしない。ルイは知り合いの元刑事アルマンから、甥の歴史学者マルク、通称聖マルコを紹介してもらって独自捜査を始める。

 

        

 

 昨夜には骨は無かったので、その後ルイが戻って来るまでの間に散歩に連れてこられた犬を探すのが糸口。いやがる聖マルコもカネの魅力には勝てず、張り込みを付き合う。そして十数人(匹)の犬を追跡するうち、週に一度ブルターニュからやって来る工芸学校の講師が浮かぶ。ルイとマルコは現地に飛び、聖マタイの応援も求める。

 

 講師夫妻の使用人の老女が、海岸で死体となっていた事件。改めて調べると左足親指が欠損していた。講師夫婦の周りには、事故死や失踪などがつきまとう。ルイは、現地警察や市長などの政治家と対立しながら事件を追う。ヒキガエルに閉口しながらも、マルコ・マタイはそれに協力するのだが・・・。

 

 36歳の三聖人が若者としてコキ使われます。ルイの年齢は自称50歳。老売春婦マルトなど、被害者含めて高齢者が一杯でてくる物語です。300ページと短いのですが、大半が高齢者の(外国人には)分かりにくい無駄話ばかり。ミステリーの筋立ては面白いのですが、ちょっと辟易しますね。