新城彰の本棚

ミステリー好きの自分勝手なコメント

4都市巡り連作の長編小説

 2002年発表の本書は、これまでノンシリーズばかりを紹介してきた斎藤栄のシリーズもの。<タロット日美子>のシリーズが有名だが、この<小早川警視正>ものも多く発表されている。ただ、僕が読むのは初めて。

 

 本書の構成は、4つの長めの短編の連作形式にになっていて、全部通して読むと長編ミステリーになっているという一風変わったもの。まあ、雑誌等への連載が多い日本のミステリーとしてはありそうな形なのかもしれない。

 

 主人公は小早川警視正ではなく、その義妹の夏木梨香。<ベル旅行社>で企画担当主任をしている彼女は、お台場・横浜・神戸・長崎の4大中華街を巡るツアーを企画し、現地調査をする過程で、各地で事件に巻き込まれる。

 

 まず新興の中華街、小香港のお台場では、カレー中華のシェフ陳と知り合い、一緒にカレー食材の卸業者王を訪ね、王が中国の医療鍼で刺殺されていたところに行き会う。そこは内側から電子錠を掛けられた密室だった。

 

        

 

 続いて横浜。石川町のハイソな住宅街に暴力団が拠点を構えていて、凶暴なドーベルマンが庭を徘徊している。それが陳シェフの隣家で、ドベルマンの噛み跡がある死体で陳の妹が見つかった。謎を解くため梨香はその家に潜入するが捕まってしまい、全裸にされてしまう。

 

 さらに神戸。梨香は神戸に向かう新幹線で、千鳥村と名乗る男と知り合う。彼は日米二重国籍(!)を持っていると言い、日星食品という会社に勤めているという。しかしこの企業、実は米国諜報機関の出先だった。神戸についた千鳥村は、何者かに暗殺されてしまうが、米国大使館がすべてを隠ぺいしてしまった。

 

 そして最後は長崎。梨香は陳シェフの知り合いだという占い師ラウスに会おうとするのだが、彼女は外国人墓地で刺殺されていた。小早川警視正も、匿名で長崎を訪れていて、4都市を巡る連続殺人事件の謎に迫る。

 

 なんとも展開の早いストーリーで、何かのゲラを読んでいるような気がしました。本書もやはり連載に追われた、書き流しではないかと思います。すこしは中華街の旅情を感じたかったのですが・・・。