新城彰の本棚

ミステリー好きの自分勝手なコメント

アベ政治のコンプライアンス

 これまで長期政権だった「アベ政治」を評価する書を複数紹介した。アジア・パシフィック・イニシャティブの「検証安倍政権*1」が最もフェアだと思った。2023年発表の本書では、コンプライアンスの鬼ともいうべき郷原信郎弁護士(*2)の目から見た、安倍政権検証である。キーワードは単純化、二極化・二元論と言ってもいい。

 

 例示されているのは、モリ・カケ・サクラ問題。

 

森友学園問題

 地下からゴミが出て売価に影響を及ぼした、国有地払い下げに関するもの。安倍総理夫妻の口利きがあったのではとの疑惑に、総理が「私や妻が関与したとしたら、総理も議員も辞める」と国会で言い放ったゆえ、問題が大きくなった。野党の追及に、財務省が過剰に反応。決裁文書の改ざんという「忖度」を行った。

 

        

 

加計学園問題

 国家戦略特区での獣医学部新設に関して、総理が「腹心」に指示をしたか否かが争われた。文科省事務次官が官邸側に不利なことを言い始めると、出会い系バー通いの報道が出て追及が緩んだ。

 

桜を見る会問題

 公式行事に自らの支援者を呼び、ホテルでの会食も有権者への饗応にあたるかもとされた疑惑。総理退任後虚偽答弁をしたと検察に追及されたが、確たる証拠は出なかった。

 

 これらの件に関し、安倍政権は「法令遵守(*3)と選挙による禊」で乗り切った。クロでなければシロ、選挙で勝てば民意が認めたということ。安倍元総理は「こんな人たち」と言い、安倍支持と反安倍の二元論を主張した。これは安倍元総理の死後も、岸田政権での国葬以降も続いた。ちなみに「国葬」も嘘で、法制度としては「内閣葬」だったが、岸田政権は国葬と言い続けた。

 

 第二次安倍政権の終わりは、国会で総理が118回も嘘の答弁をしていたことを否定できなくなった結果だとあります。改めて思うに、メディアは政権の何を見ていたのでしょうか?

 

*1:戦後最長政権をフェアに評価する - 新城彰の本棚

*2:以前「告発の正義」を紹介している。司法制度改革、検察権限の変化 - 新城彰の本棚

*3:遵守とは真っ黒でなければOKの意味