2017年発表の本書は、堺屋太一最後の小説・・・ではあるが、小説の形をとって僕たちに「あるべき&ありたき日本像」を示してくれた書だ。2026年、政府債務は1,500兆円(GDP比3倍)に達し、毎年40兆円の国債を発行しなくてはならないところまで日本政府は追い詰められた。人手不足もありGDPは伸びず、空き家率は2割を超えている。平均寿命も、2024年にピークをつけてしまった。
自民党の財政拡張路線とたもとを分かった新党「健全党」徳永党首らは、野党連合を結成して政権を奪取した。徳永政権は「身の丈の国」にするとして、
・国民人生の規格統一
・流通の無言化
・東京圏の国会議員増
を掲げた。東京一極集中で各所の無駄を省き、効率化を図るというものだ。多くの施策が「バラ撒き」として切り捨てられたものの、それでも国家予算は125兆円を超え、財政赤字は減らない。

これに対し大阪府の杉下知事らは「第二の仕事」を解禁するという。余力・能力のある人に、本業の傍ら力を発揮してもらおうというのだ。記者の「本業がおろそかに、また格差が広がる」との指摘に知事は「おろそかにはさせない。格差はできて当然」と言い放った。西日本中心に何人かの知事が賛同して、公務員の副業解禁をはじめている。
また心理学者吉田教授は、日本の長い低迷は「欲なし、夢なし、やる気なし」の風潮によるとして、江戸時代の「ええじゃないか」のような旋風を巻き起こして特に若い世代の「欲・夢・やる気」を喚起すべきという。人手不足も余ってきた日本の大学や医療機関を各国に輸出、日本語&技術を教えた人たちを移住させることで解決するという。
これらのプランと意見を戦わせた徳永総理は、自分の政策が日本をつまらない社会にしてきた官僚政治の究極の姿であることに気づく。日本は戦後の「地獄」から努力を積み重ねて「天国」を作ってしまったのだ。この路線はゆきどまりゆえ、カタストロフを起こそうと、
・道州制の導入
・大阪都と東京都の二極体制
・税源含めた地方への権限移譲
・国保有資産の地方への売却で、政府債務を地方債務に移行
という大手術を試みる。
作者が「大阪維新の会」でやりたかったことは、恐らくこれですね。2019年に堺屋先生は亡くなりましたが、その遺志は誰が継いでくれるのでしょうか。