2024年は選挙イヤー、各国でポピュリズムが台頭している。その萌芽は「Brexit」や「トランプ1.0」なのだが、2019年発表の本書はその原因を追究した経済アナリスト吉松崇氏の政治論。
20世紀以降の民主主義では、右派=資本家側、左派=労働者側だったが、21世紀にはそうではないと冒頭にある。その象徴が2017年のフランス大統領選挙で、一次投票では4勢力が20%以上得票して優劣が付かなかった。その4勢力とは、
・親富裕層、ネイティビズム
・親低所得層、グローバリズム
・親低所得層、ネイティビズム(ルペン候補)
で、マクロン対ルペンの決選投票は、マクロンが勝った。旧左派は3項目目が一番近いのだが、それでも支持者はエリート。真に労働者のことを考える政党は無くなっていた。

2016年の米国大統領選挙では、商人エリートであるトランプと知的エリートであるヒラリーの闘いとなった。極左と言われるサンダース候補も知的エリートだ。環境問題やダイバーシティなどに熱心な左派は、高学歴者が多い。むしろ「叩き上げ」の中学歴者が右派を支持する。低学歴者の行き場がない。各国の事情を見ると、
◇フランス
統一通貨ユーロに金融政策を奪われたのが大きく、マクロンの新自由主義的政策も不評。極右も極左も「反EU」で、マクロンの下に中道が集まって「親EU」を支えている。
◇英国
1990年代から労働党が「ニューレイバー」になって、労働者層を顧みなくなった。保守党の緊縮予算方針もあって低所得層に不満が溜まり、怒りの矛先が移民に向いた。
◇米国
オバマ政権でマイノリティの地位が向上、ヒスパニック系の移民が増えて白人がマイノリティと化した。「アメリカンドリーム」の恩恵に少しでもあずかっている層は、民主党から離れた。
政治が既存エリートに独占されているという怒りが、ポピュリストを台頭させたとの主張でした。マクロンの中道は「極中」との説(*1)もあって、それが腑に落ちる論説でしたね。