新城彰の本棚

ミステリー好きの自分勝手なコメント

デフ・マンに見込まれたキャレラ

 1993年発表の本書は、エド・マクベインの<87分署シリーズ>。以前紹介した「キス」に続く作品で、キャレラ刑事たちのライバル「デフ・マン」がまた登場する。例によって複数の事件が並走して、刑事たちを悩ませる。今回は3つの事件+「デフ・マン」の陰謀である。

 

 87分署管内にはまともな病院はないが、その前に痴呆老人の置き去りが相次ぎ、中には心臓麻痺で死亡してしまうケースも。被害者は誰に連れてこられたかが証言できない。被害者が着せられていた毛布が手掛かりとなって、ホース刑事は潜入捜査を始める。行く先は、麻薬や売春などが横行する暗黒街だ。

 

 2人の兄弟がまだ17歳の娘を取り合って立てこもり事件を起こした現場には、クリング刑事の恋人アイリーンが交渉人として出向く。しかし彼女の相棒は、右目を撃たれて重態に。人質もとっくに殺されていた。失意のアイリーンをクリングは必死に慰める。

 

        

 

 クリングとパーカー刑事が追うのは、壁を絵を描くストリートアーティストの射殺事件。顔に2発、胸に1発重い弾頭を打ち込んだあげくに、スプレーを顔や胸に浴びせる手口で、何人も殺された。連続殺人と思われたが、被害者のひとりが富裕な弁護士で、誰も彼がストリートアートをしていたことを知らない。ただ、妻も知らなかったが倉庫に大量のペンキは置いてあった。

 

 そんな中キャレラにかかってきた電話は「少し耳が不自由」と耳慣れた声で話した。 戻ってきたデフ・マンは、ソニーサムスンと名乗り、キャレラを指名して大きな事件を起こすぞと予告する。何度もの電話に手紙もやってくるのだが、彼の計画は全く見えてこない。ただ大勢の人が集まるところ・・・どうも25万人を集めるラップのコンサートらしい。

 

 なじみのある刑事たちの活躍は頼もしいのですが、さすがに550ページは長すぎ。キャレラと妻のテディのなれそめなどのエピソード、マニアにはうれしいけれどなくてもよかったような気がします。