新城彰の本棚

ミステリー好きの自分勝手なコメント

わずか500人の「珍獣たち」

 今日は110番の日、2年続けてこの日に元キャリア警察官僚古野まほろ氏の著書を紹介しているが、今年も3冊目を取り上げたい。これまで、

 

・警察の階級 巡査~警視総監までの10段階の解説

・事件でなければ動けません 警察官の行動様式から、彼らを上手く使うトリセツ

 

 だったが、本書のテーマは「キャリア官僚の生態」である。国家試験に合格して、研修後すぐに警部補として配属される話は、初代内閣安全保障室長だった佐々淳行氏の書(*1)でも紹介されている。国家試験に合格した者のうち、試験成績も高位でなく、アウトサイダーの傾向が強いと筆者は言う。

 

・一言で言い表せない、独特のクセがある人物

・伝統ある家庭で育った「世襲」公務員ではない

・様々な意味で芸達者が多い

 

        

 

 26万人もいる全国の警察官だが、キャリア組は500人しかいない。多くは東京都にいるから、地方では県の1~2人しかいないところもある。現場では「珍獣」扱いである。初期の研修期間を除けば現場で事件を追うことなどなく、もっぱらやっているのは法などのルール整備。

 

 新法の起草や重要な法改正などには非凡な能力を持った専門家があたるが、それに付随する雑事も多い。「法」以外にも、予算・定員・組織に関することで、膨大な作業量がある。このため警察庁勤務の警視(官僚としては課長補佐級)は、午前3時に帰宅、7時に自宅を出るような日々を送る。

 

 帯にあるように「特権も陰謀もない」のは、特に官僚として政治家との交流が少ないから。通常「政・官・業」のトライアングルが利権など生むのだが、警察庁が管掌する業(民間企業等)は他の府省に比べて極めて少ない。だから政治家も(利がないので)警察官僚を(表業以外で)必要としないのだ。

 

 キャリア官僚との付き合いはそこそこありますが、警察庁の人たちって大変なんだなと改めて思わせてくれた書でした。

 

*1:初代内閣安全保障室長の青春 - 新城彰の本棚 (hateblo.jp)