新城彰の本棚

ミステリー好きの自分勝手なコメント

.300口径、アーマーピアシング弾

 2019年発表の本書は、国際的ベストセラー作家ロバート・ポビの最初の邦訳本。作者は骨董商出身という経歴で、インターネットのない山荘に籠って執筆をするという。

 

 舞台は数年来の冬の嵐が吹き荒れるマンハッタン、運転中の捜査官が狙撃されて事故が広がり、歩行者も犠牲になった。凶弾は.300口径の軍用徹甲弾。これで頭部を直撃されれば、スイカを撃ったように飛散してしまう。狙撃手は、1,000ヤードの距離で、暴風雪が吹き荒れる中、運転席のガラス越しに目標を捉えた。

 

 部下を殺されたFBIマンハッタン地区責任者キーホー捜査官は、ルーカス・ペイジ博士を呼び出す。彼は天才天文学者で、3次元空間把握の異才を持っている。異能の捜査官だったが、片腕、片脚、片目を失って大学教授に転身していた。

 

        

 

 いやいや捜査に加わったルーカスは、若い黒人女性捜査官ウィテカーの助けを借りて現場に出る。しかしその後も、刑事など官憲の犠牲者が出続ける。ルーカスはこれほどの射撃の腕の持ち主なら、以前にも同様の犯行をしていた可能性があると考えた。するとワイオミング州で、保安官補が撃たれた事件が浮かび上がる。

 

 ルーカスや妻のエリン、大勢いる養子たちにも危機が迫り、孤児だったルーカスが富豪の婦人に引き取られる過去など、事件の本筋以外のエピソードもふんだんに盛り込まれる。それゆえに500ページを越える長編になったのだが、現在の基準ではこれくらいが普通かもしれない。

 

 銃器マニアやテロリスト、その支援者たちが登場せするせいだけではなく、米国のは銃器と弾薬があふれていることを痛感させられる。捜査中、

 

・容疑者の家には、.300口径ライフルだけで60丁

・故買屋の倉庫からは、ほとんどはサブマシンガンで200丁

 

 などと続々押収物件が出る。作者の腕は確かで、これから続編が出てくることを期待します。それでも、もう少し短くなりませんかね。疲れてしまって。