2022年発表の本書は、拗ね者生物学者池田清彦氏の「SDGs批判」。欧州の格言「地獄への道は善意で敷き詰められている」を引用して、SDGs(*1)の取り組みはその典型だと非難している。
ここに挙げられている項目には、誰も反対できない。しかし地球規模での実現もまた難しい。相互に矛盾するものもあって、#2飢餓をゼロにとしながら#14海の豊かさを守ろうなど不可能である。もともと発展途上国を対象にしたMDGsが制定されたのは2000年。これは、ある程度カネで解決する目標だった。現に#1極度の貧困と飢餓の撲滅は、2015年の報告では「1990年に比べて半減した」とある。

問題は、その後これらの目標を世界全体に広げてSDGsとしたことである。人口が80億人もいて、できることではないのだ。筆者は「人口を減らす」を#18として追加すべきだとも述べている。無理を知りつつそれを国連が掲げたのには、EUの戦略があったと筆者は言う。
エネルギー資源も人口も少ないEUは、エネルギーや人口の多い国(米国・中国・ロシア・中東・インド等)に対抗するために、彼らに足かせを掛ける必要があった。そこで「善意」に見える目標を掲げさせたのだとある。国数がそこそこあるEUは国連での発言力もあり、環境技術に長けた企業もあって、その戦略は成功した。
現在進められているCO2削減にしても、CO2が多いほど植物の成長は速くなるなど環境に優しいかどうかは議論の余地がある。
古来日本は、あるべきSDGsを実現してきたとあります。最初の100万都市江戸は、完璧なエコシティ。地方でも里山は、住民が手を加えた「放置したのではない自然」である。こちらの方が思惑のある国連目標より真っ当だとおっしゃっているようで。