1947年発表の本書は、A・A・フェアの「バーサ&ラム君もの」。パートナーになって本来のずうずうしさが増してきたラム君が、細かなお金に執着する探偵所長バーサの悲鳴をよそに、バンバン経費を使って(*1)事件解決にあたる。
そもそも、怪しげな依頼を受けるバーサが悪い。不動産富豪ジェラルド・ボールウィンの姪と名乗る女が、ジェラルドが後妻のダフネによって毒殺されそうだから犯行を防いでくれと言ってきた件だ。半金の250ドルを支払った女は、明らかに偽名を使っている。仮にダフネが毒殺を企んでいるとしても、家庭内の(まだ起きていない)事件に外部の者が関与するのは難しい。それでもバーサが引き受けてしまい、ラム君はやむなくボールウィン家の内偵に入る。

切れ者のラム君だから、直ぐに女の身元が割れる。ボールウィン家にはアンチョビ・ペースト企業の広告担当になりすまし、目立ちたがり屋のダフネを「モデルにします」と取り入る。2ダースのペーストを置いてきたのだが、ジェラルドがダフネが用意したペーストを塗ったカナッペを食べてヒ素中毒を起こしてしまう。
ラム君は、事件を担当したセラーズ刑事からは「お前のペーストに毒が入っていたのかも」と疑われるし、バーサからは「なんで2ダースも買うのよ!2個で十分」と怒鳴られてしまう。ボールウィン家は確かにお金持ちだが、先妻が不審死していてその弟が会社に寄生虫のようにとりついている。不気味な歯科医も登場し、複雑な陰謀・愛憎模様が展開する。
ジェラルドは命を取り留めたのだが、今度はダフネが毒殺され、ヒ素を薬局で買った歯科医の看護婦ルースに疑いがかかる。ラム君は彼女を救うために、またも大芝居を打つことになる。
カリフォルニア州などでは、死刑は金曜日と決まっていたという。それが題名の由来。例によってラム君の「悪い法律知識」は、誰に福音をもたらすのか・・・。なかなか快調なこのシリーズ、もっと探してみましょう。
*1:わざと車をぶつけて賠償したり、勝手に探偵を雇って監視・尾行をさせたり・・・